挿絵を担当した「海のなかまたちの童話」の原画展を開催する 安中 晶子さん 戸塚区出身 50歳
母の思いを背負い前へ
○…昨夏亡くなった、母親で児童文学作家の榮子さんが執筆し、自身が挿絵を担当した「海のなかまたちの童話」の原画展が、きょう4日から8日までさくらプラザギャラリーで開催される。期間中は朗読会も実施。イラストと物語の両方が楽しめる。「一人でも多くの方に来て頂けたら天国の母も喜ぶと思います」と穏やかな口調が印象的だ。
○…「子どもの頃から暇さえあれば絵を描いていた」と振り返り、高校に入ると本格的に画家の道を志した。「この頃から母が童話を書き始めて。同人誌に掲載するとき、絵があった方が華やかだから」と、母に頼まれて挿絵を描くことに。以来、30年以上にわたる母との二人三脚が始まった。その中で航海士向けの新聞へ寄稿したのが同作品。「魚たちが人間さながらに喧嘩したり、親子愛を感じたりする姿を通して、読者が童心に返れたら」と手塩にかけて作り上げ、「いつかこの作品の展示会を」と二人で夢見ていた。だが、地元での開催が決まった直後に母が他界。「絶対に私が成功させないと」と母の思いを一心に背負い、形にした。
○…4年前に友人の紹介でイタリア人と結婚。それを機に、20年間住んでいた戸塚を離れ、ローマへ。現在は美大で培った技術を生かし、風景画家として活躍中だ。まだまだ海外生活は不慣れだというが、「この前現地で開催された葛飾北斎の宿場美人画展で”戸塚”を見つけて飛び上がった」とにっこり。ローマも戸塚も古い街だという共通点を踏まえ、「それぞれの歴史を映し出した景色を描けたら」と絵への情熱を見せる。
○…「あなたの個性が発揮できるから、今の仕事はぴったりね」という母の言葉が原動力。「療養中で辛い中でも、私の個展には欠かさず来てくれた」と瞳を潤ませる。そんな母が遺した作品に絵を添え、今後も世に出すことが今の夢。「まずは今回の展示会を無事に終え、母を安心させたい」と温かい笑みを浮かべた。
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4月18日