日本古来の趣を感じさせる優雅な音色を、箏で軽やかに奏でていく――。
演奏するのは品濃町在住の富志乃清愁(とみしのせいしゅう)さん(45)だ。富志乃さんは、自宅で教室を営むほか、区内の介護施設で慰問演奏を行うなど、日々精力的に活動している。先頃は、明治学院大の学祭でワークショップを開き、学生や近隣に住む家族に向けてその魅力を発信した。
演奏家だった母の影響を受け、6歳から本格的に箏を始めた富志乃さん。厳しい稽古をものともせず、研さんを重ねてめきめきと腕を上げていった。数々の舞台を経験し、26歳で師範に。「お弟子さんが少しずつ上達していく姿を見ると本当に嬉しい」。真心を込めて指導に当たっている。
「礼儀作法も学べる」
富志乃さんは「生田流」という流派を受け継いでいる。左斜め45度に座り、指に四角い箏爪を付けて演奏するものだ。「慣れない体勢だが、箏を通して姿勢が正されたり、奇麗な立ち振る舞いが習得できたりと日本特有の礼儀作法も学べる」と醍醐味を話す。
また、家元の教えを踏襲し、演奏するのは「さくらさくら」や「八千代獅子」といった古曲のみ。優美な雰囲気を重視しながらゆっくりとテンポを刻んでいく。「基本に忠実に弾くのがポイント。それが、伝統を受け継ぐことにつながる」と語る。
今後は、市内の日本語学校で留学生を対象にした体験会を行うという。「伝統芸能の奥深さを伝え、日本を好きになってほしい」。柔和な表情で話した。
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