聴覚障害のある母親と健聴の母親をつなげる場をつくる団体「きこえないママ×まちプロジェクト」(松本茉莉(まつり)代表)。「きこえるママとつながりたい」という思いで区内で活動を始め約4年が経った。現在、自主運営や多地域でのイベント開催など新たな展望が生まれてきている。
同団体は2014年9月以来、およそ月1度のペースで交流イベントを開催している。聞こえに難のある母親と健聴の母親が集まり、子育ての悩みや楽しみを共有するのが主な目的だ。
生まれつき耳が聞こえない松本さん。口の動きから言葉を読み取ることができ、明快な発音で話せるものの、子育てに関しては困ることが多かった。子どもの泣き声に気付けなかったり、意図を組み取れないことも。なにより、同じ世代の母親と会話し、子育ての悩みを共有できる機会がないことに悩んだという。
そこで松本さんは、子育て支援を行うコミュニティカフェ「こまちカフェ」(戸塚町)に相談。聴覚障害のある母親や、手話に関心のある健聴の母親らが集まり、交流イベントが始まった。
現在は、毎回10人くらいが参加。母親のひとりは「このイベントがあるから(聞こえに難があっても)子育てを頑張ることができた」と笑顔だ。また健聴の母親は「ふだん聞こえないママの日常を知るきっかけがないので勉強になる」と話す。
冊子制作なども
一方で課題も見えてきた。現在参加しているのは、元々聴覚障害に関心のある人が中心。松本代表は、子育て世代の母親が聞こえる・聞こえないに関わらずコミュニケーションできる場所を目指していることから、「聞こえない人のことをあまり知らない方に、もっと来てもらえるようにしていきたい」と語る。
今年3月には、簡単な手話や難聴者とのコミュニケーション方法が書かれた冊子を制作。現在区地域子育て支援拠点とっとの芽(川上町)などに設置している。「他の場所でも置いてもらえるよう働きかけたい」という。
またこれまでは「こまちカフェ」のイベントだったが、この6月から独立した。今後は自主的な運営のもと、上倉田地域ケアプラザを拠点に活動しつつ、様々な地区でイベントを開催できるよう模索していくという。松本代表は「これからも聞こえない母親が地域で生活しやすくなることを目標に活動していきたい」と展望を話した。
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