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保存版特別企画 加齢難聴と補聴器を考える
加齢に伴う難聴を患う人は１５００万人を越えると推定されている。割合でいうと、じつに「65歳以上で３割、75歳以上で半数」。一方で、補聴器の販売台数は年間約55万台と低い水準だ。なぜ補聴器を買う人が増えないのか。そして私たちは加齢難聴とどのように付き合っていけばいいのだろうか。様々な側面から考えていく。
「早めの補聴器装用を」戸塚区の補聴器職人・大槻さんインタビュー
だれもが患う可能性がある「加齢難聴」。聴こえが悪いと、不安や孤独感など心理的にも悪い影響が出てしまう。一方で、装用の恥ずかしさなどから「なかなか手を出せない」という人も多い。自身も難聴を患う戸塚区下倉田町の補聴器職人・大槻公孝さんに、補聴器の必要性や購入時期について話を聞いた。
補聴器は、できるだけはやい時点でつけ始めた方が「結果的には楽」――。大槻さんはそのように呼び掛ける。理由は大きくわけて、「装着（耳につけること）に慣れるため」「円滑な会話やコミュニケーションを保つため」のふたつだ。
装着に慣れる
大槻さんによると、補聴器は的確に耳に取り付る必要があるという。「補聴器は非常に高度な音響機器であると同時に高度な工学機器。その機能を十分に生かせるかどうかは、しっかりと耳につけられるかどうかにかかっている。的確な装着ができるうちに慣れておいた方がいいのです」
指先の機能や認知機能が衰えてきてからでは、小さな補聴器を耳に取り付ける作業を覚えるのは難しい場合がある。「一方で、若い頃に一度身に着けた技術はなかなか忘れにくいもの。早めに装着に慣れておくことがとても大切です」と話す。
円滑な会話のため
耳の機能が衰えると、どうしても「え？」「なに？」と聴き返すことが多くなる。「本人にとっては何度も聴き返すのは気が引けますし、周りの人もおっくうになります。そうして家族や友人との会話が少しずつ減っていく……そんな相談が私のもとに多く寄せられています」と話す。
また自分が加齢難聴であることに気が付かず、知らない間に家族や周りの人と疎遠になる……という場合もあるという。大槻さんは「まずは自身が難聴かどうかを知ることが大切」とし、左上図の「簡単おみみチェック」で聴こえ具合を調べてみることを勧めている。
「補聴器は恥ずかしいという文化がある」と大槻さん。その理由を、難聴が年寄りじみていると考える人がまだまだ多いからと分析する。「目が悪ければメガネをかけることと変わらないことだと思って欲しい。補聴器を早めにつけ、より充実した生活を送ってもらえれば」と呼び掛ける。
聴こえに喜びの笑顔 県外からの来店者も
大槻さんが営む補聴器店「おみみショップ」には全国から聴こえに悩む人が来店している。
この６月には、建設機械会社の代表を務める50代なかばの男性が、千葉県から訪れた。幼いころに難聴を患って以来言葉を聴き取れず、慣れない発音や手書きの言葉で意思疎通を行ってきた。
男性はウェブで同店の存在を知り、意を決して来店。大槻さんに相談したところ「あなたよりも私の方が聴力が悪いですよ」という言葉が返ってきて男性は驚いたという。
大槻さんは聴力データをもとに補聴器を調整。男性の耳に取り付けると、硬かった顔がみるみると和らいだ。「聴こえるよ！」。その満面の笑顔を、大槻さんは忘れられないという。
「この笑顔がやりがい。これからも一人でも多くの人に聴こえを届けたい」大槻さんはそう語る。
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こどもタウンニュースよこはま版4月8日 |
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