戸塚区総合庁舎に設置されているステンドグラスに見入った人も多いだろう。製作した平山健雄さん(69)は、市開港記念会館のステンドグラス修復なども手掛けた第一人者だ。11月22日に贈呈式が行われる横浜文化賞にも選出され、活躍が続いている。
「不思議な縁があり、私の作品は区役所を始め、西横浜国際総合病院など市内では戸塚区が一番多いんです」。平山さんは柔和な笑顔を見せながらこう語る。
平山さんは1973年、武蔵野美術大学卒業後76年に渡仏。フランスの国立高等工芸美術学校で本格的にステンドグラスを学び始めた。以後、日本はもとより、世界各地で個展を開くなど活躍の幅を広げていく。84年から市内に工房を構え、さらに作品作りは深化を続ける。こうした点が評価され、00年に横浜マイスターにも選出。技術伝達にも熱心で、港北区役所に設置されているステンドグラスを地域住民らが作成するにあたり、その指導にもあたっている。
”光”に最大限気を配る
戸塚区総合庁舎4階に設置されるステンドグラスは、13年に庁舎が新設される際、創立50周年を迎えた戸塚ロータリークラブが祝いとして区に寄付したもの。当時同クラブ会長を務めていた金子禎さんは「高名を聞き依頼した。素晴らしい作品で、今では区の宝物の1つになっている」と語る。
平山さんは、創作にあたり、戸塚の歴史を詳細に調べ上げ、それを反映。
作品は「Totsuka宿」と名付けられ、江戸時代の浮世絵師・英泉の「東海道五拾三駅名所古跡略記道中双六」から戸塚に関わるところなどの絵を周囲に配したほか、現在の箱根駅伝、戸塚区のイメージキャラクターの「ウナシー」まで盛り込んでいる。もっとも気を配ったのは、ステンドグラスの要となる”光”だ。当時工事中の庁舎に日光が差す時間に足を運び確認しながら作品を生み出した。平山さんは「依頼者の希望に最大限応えながら私自身の思いも作品に投影している。市内にはまだ貴重なステンドグラスが残っている。その修復・保存にも力を注ぎ、次世代に継承したい」と話している。
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