上倉田町にある中途障害者地域活動センター「とつかわかば」は、脳血管疾患などで起きた後遺症による障害がある人に向け、軽作業や地域交流を通して各々が自立した生活ができるようサポートしている。先ごろNPО法人化して10年を迎え、引き続き精力的に活動していく考えだ。
脳出血で手足がまひするなどの後遺症を抱える中途障害者に、編み物などの軽作業や体操教室、地域交流などに取り組んでもらうことで自立の後押しをしている同所。平日開放しており、週1回から利用できる。通所者の障害の程度は部分まひや言語障害など様々で、現在は30〜60代の24人が登録。各々が「社会復帰」や「悪化を防ぐ」という目標に向かって日々活動している。
「運営で大切にしているのは、通所者に“役割”を持ってもらうこと」と話すのは田所靖子所長。個々に率先して動いてもらうよう広報係や食事配膳係など役目を決めており、主体性や積極性、協調性が発揮できるよう促している。
実際に失語症で「片言の言葉を聞かれたくない」と塞ぎ込んでいた女性が、仲間が切磋琢磨している様子に刺激され、少しずつ話すようになったケースも。「(通所者にとって)障害を持つ前にできたことが難しくなるのが一番つらい。でも“必要とされている”という実感が、ステップアップにつながる」
「拠点の周知」が課題
中途障害者を支援する会は市内18区に1つずつあり、きっかけはとなったのは1991年に港北区で設立された「港北根っこの会」だ。働くことを通して、社会との接点を見出すリハビリの場をつくりたいという中途障害者自身の思いから立ち上がり、以来、同会をモデルに整備が進み、戸塚は2001年に15番目の拠点として誕生。その後2009年にNPO法人化された。これまでの登録者数は122人に上り、通所者からは「通っているうちに気持ちが前向きになり、もっと頑張ろうと思えるようになった」などといった声が上がっている。
2年前からは、くも膜下出血や交通事故などによる頭部外傷で生じる「高次脳機能障害」の専門相談にも対応している。怒りっぽい、物忘れが多い、疲れやすいなどの症状が見られる障害で、見た目だけでは判断しにくいためより一層の支援が必要だという。
一方で課題はセンターの周知だ。一般的に病気や事故のあと、病院でリハビリを受けられる日数は決まっていることを踏まえ、「ここが退院後の受け皿になると知ってほしい」と田所所長。現在、周知のため、近隣の医療機関や施設に赴き、センターの概要や利用法などを紹介している。「困っている人はいつでも相談しほしい」と呼び掛ける。
問合せは【電話】045・870・4460。
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