全国的な規模で新型コロナウイルスの感染拡大が続く。感染を恐れて、疾患がありながらも医療機関への通院を見合わせている人も多いのではないだろうか。しかし、身心を良好な状態で維持するには、適切な受診は必要だ。区民の口腔内の健康維持に努める戸塚区歯科医師会の小篠一雄会長に、コロナ禍での歯科治療の重要性を聞いた。
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虫歯の悪化が増加
小篠会長によると、4月、国が緊急事態宣言を発令した後、区内の歯科医院のほとんどで数多くの患者の通院が減少したという。
「全国的に見ても、歯科院内で感染したという報告を聞いたことがない(8月3日時点)。警戒感から足が遠のいた状況がうかがえるが、治療のストップはデメリットの方が大きい」と小篠会長は見解を示す。
宣言解除後、患者が戻ってきたなか、虫歯の悪化が数多くあったという。「2カ月から3カ月治療をしなかったことで、神経まで取らなければいけない患者さんが6月以降、格段に増えてしまった」。虫歯は放置してしまうと、最悪抜歯にまで進行してしまうことから、医師として「看過することができない」と力を込める。
次に危惧したのは歯周病の悪化だった。定期的な治療で改善していた患者が初期の段階に戻ってしまったケースが見受けられたという。
また、普段の治療中に見つけることができていた唾液の分泌が低下して口の中が渇き、歯垢の増加や口臭を強くさせる「口腔乾燥症」、医師会としても力を入れている「口腔がん」の発見などができなくなることも危惧している。
このほか、壊れた義歯を直さずに食事を続けているなかで起こり得る胃腸の悪化、インプラントのケアを怠ることで起こるインプラント歯周病など、治療を止めるデメリットはやはり大きい。
感染防止対策を実施
日本、神奈川、横浜各歯科医師会の指導の下、区歯科医師会は感染症対策を実施。各医院で多少の差異はあるものの、院内と器具の消毒の徹底、医師のマスク、防護シートの装着などをきめ細やかに行っている。
「コロナ禍の中、我々は感染防止対策を可能な限り実践している」とし、定期的な検診を呼びかける。それによって直ぐに治療が必要なのか、先に延ばしても大丈夫なのか、医師が判断ができるという。
「まず、お願いしたいことは食事をするごとの歯磨き。これが何といっても基本。できれば1回3分やって欲しい。また、高齢の方がいる、ご家族や施設の方は定期的に口の中のチェックを。汚れが残っていると誤嚥性肺炎を引き起こす恐れもある」と小篠会長は話している。
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