本紙では本格的な台風シーズンを前に、吉泉英紀戸塚区長に区の警戒態勢や区民の取るべき準備行動などについて聞いた。
――9月上旬には超大型台風が九州地方を中心に到来しましたが、区役所の警戒態勢から教えてください。
「近年、台風や集中豪雨などの自然災害による被害が全国各地で発生し、今年もすでに、洪水やがけ崩れなどによる被害が生じており、私たちも改めて気を引き締めていきます。災害時には、状況に応じた正しい避難行動を取ることが、命を守ることにつながります。仮に昨年の台風19号のような非常に大型の台風が接近してきた場合、区民の皆さまが不安を感じた際に、迅速に避難できるよう、区内全域に13カ所の避難場所を開設予定です。避難場所となる学校等には事前に協力をいただき、従来よりも避難スペースを増やしているほか、非接触型の体温計やアルコール消毒液などを準備し、感染症対策を徹底しています」
分散避難も視野に
――区民の避難所への避難が想定されますが、感染症対策として密を避ける必要があります。
「改めて確認をお願いしたいのが「避難」とは「『難』を『避』ける」こと、つまり「困難な状況を避けて安全な場所に移動すること」であること。台風そのものが「難」と認識しがちですが、洪水やがけ崩れ等の危険のない場所にいる場合には、命の危険をもたらす状況が起こる可能性は低いわけですから、無理な避難は必要ありません。むしろ、自宅にとどまることが「難」を「避」けることにつながります。また、自宅に不安がある場合にも、友人や親戚の家を避難場所として選択することも併せて検討を。区役所で開設する避難場所は1カ所に多くの人が集まるため、「三密」の条件を満たしやすい。コロナ禍では感染症対策を踏まえ、避難場所を分散させて感染症拡大を防止できるよう、協力を」
――台風では大雨による洪水や土砂災害が予測されます。自宅の安全性確認方法は。
「災害時に正しい避難行動を取るには、お住いの地域の特性を事前把握しておくことが非常に重要。自然に恵まれた戸塚区には、多くの川が流れ、がけ地も点在しています。こうした土地の特性に応じて洪水やがけ崩れなどが発生する危険性を地図に落とし込み、目で見えるようにしたのがハザードマップ。平成30年7月に西日本を中心に大きな被害をもたらした集中豪雨では、甚大な被害発生場所とハザードマップの想定危険区域が大きく一致していました。必ずお住まいの地域や、通勤通学で使う道などの危険性を今のうちに確認を。スマートフォンなどを使用する方に勧めているのが、横浜市行政地図情報提供システムの1つ「わいわい防災マップ」。スマートフォンなどでハザードマップを確認でき、紙のマップでは見づらい情報も詳細に確認できます(紙マップも区役所で配布中)」
――昨年の台風19号を受けて、今から準備しておいたほうがよいことは?
「昨年の台風では区内でも停電が発生し、不便を感じた方もいたと思います。水や食料、生活用品、ライトなどの準備を。昨年の台風直前には店から商品が無くなる事態も発生しました。日頃から普段の生活で必要なものを少し多めにストックすれば災害時にも安心して自宅で過ごせます」
状況踏まえた対応を
――実際に避難勧告が出た場合の注意点は?
「区役所からの避難勧告は、洪水や土砂災害の危険性があるエリアに向けて出されます。まずは、ご自身のいる場所が避難勧告の対象エリアになっているか確認し、状況に応じた避難行動を開始してください。危険を感じたら、躊躇(ちゅうちょ)せずに速やかにその場を離れます。ただし、夜間など周囲の状況が十分に確認できない中での移動は非常に危険。そのような場合には無理に外に出ず、建物の中の安全な場所に避難を。基本は「危険な場所から全員避難をする」こと。状況を冷静に判断し、避難勧告対象エリア外であっても、危険を感じたら速やかに安全な場所に向かってください」
――区民へのメッセージを
「ハザードマップで地域の特性を知り、台風接近時の行動を事前にイメージし、いざという時に適切に情報を取得できることが、正しい避難行動につながります。ご自身や大切なご家族の命を守るため、今からの十分な準備をお願いします」
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