横浜市が7月1日、ひとり親の養育費確保を支援する2種類の制度を始める。支払い内容を取り決める公正証書などの作成や、不払いに備える費用を補助するもので、養育費を適切に受けられる環境づくりを進める。
子どもが健康に成長するための教育や、保護に必要な養育費。元夫から、親権を持つことが多い元妻への不払いが問題となっており、全国の自治体で支援事業が始まっている。
市の制度は2種類。一つは、支払い金額や期間を定めた公正証書などの作成費用が3万円まで補助される。もう一つは、民間保証会社が不払い分の立て替えと督促を行う「養育費保証契約」に関する支援。児童扶養手当を受けるひとり親を対象に、保証会社との契約で支払った費用5万円まで補助。いずれも公正証書など請求権を証明する債務名義があることが条件だ。市こども家庭課の職員は「養育費の大切さを認識するきっかけとし、活用を」と話す。
養育費は、その内容を離婚時に取り決めしていないケースが多い。ひとり親家庭を対象にした市のアンケート調査(2017年)によれば、「相手と関わりたくない」「支払う能力や意思が無いと思った」などを理由に、取り決めしていない人は50%弱に上った。
市はこうした状況を改善するセミナーを開くほか、ひとり親サポートよこはま(中区)で弁護士による無料相談を行う。
ひとり親サポートよこはまの津守恵里子センター長によると、ここ10年で養育費や公正証書に関する相談を受けることが増えているという。一方、スムーズな手続きが難しい状況や、費用面などで公正証書や保証契約を断念する人もいるとして、「補助制度が、様々な事情で養育費を諦めていた人を支えることにつながれば」と期待を寄せる。支払う側に対して、養育費の役割を啓発も重要だと強調する。
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