近年、これまでの想定を超えた大型で発生、通過、上陸し、甚大な被害をもたらす台風。日頃からの準備の重要性が年々増してきている。本紙では、本格的な台風シーズンを前に、吉泉英紀戸塚区長に区の警戒態勢や区民の取るべき準備行動などについて聞いた。
避難行動のイメージを
--台風、風水害に対する普段からの心構えを教えてください。
「近年、台風や集中豪雨などの自然災害により、全国各地で非常に甚大な被害がもたらされており、今年7月には、静岡県熱海市において大規模な土砂災害が発生しました。熱海という比較的身近な場所で発生した災害に、自分がいつこうした被害に遭うか分からない、と感じられた方も多くいらっしゃると思います。つい”自分だけは大丈夫”と思ってしまいがちですが、災害をいかに”自分ごと”と捉え事前に準備を行うかが、いざ災害に遭ってしまった時にその状況に応じた正しい避難行動を取り、命を守ることにつながります」
--どのような備えをしておけば良いのか、また、避難行動について教えてください。
「まずは、ご自宅の周りや普段よく通る道の状況を確認してください。豊かな自然に恵まれた戸塚区には、多くの川が流れ、がけ地も点在しています。土地の特性に応じて、川の氾濫や土砂災害といった危険性を地図で表示したハザードマップを見ていただくことで、身の回りでどのような災害が起こる可能性があるのかを知ることができます(詳細は左ページのハザードマップ情報欄を参照)。
危険性の有無が把握できたら、次は実際の避難行動をイメージしてみてください。ここで区民の皆さまに改めてご確認いただきたいのが、「避難」とは、「『難』を『避』ける」こと、つまり「困難な状況を避けて安全な場所に移動する」ということです。ハザードマップで自宅に大きな危険性が無いことが分かったら、安全な自宅にとどまる『在宅避難』も正しい避難行動です。また、仮に自宅の周りに危険性があることが分かったら、行政が開設する避難場所など自宅以外の安全な場所に避難します。避難行動をとる際に意識していただきたいのが、『分散避難』です。新型コロナウイルスの爆発的な感染が続く中で、災害の危険から逃れ、かつ、これ以上の感染拡大を防ぐためには、様々な場所に分散して避難していただくことがとても重要です。公的な避難場所以外にも、ホテルや親戚のお宅など、避難先を事前にご検討ください。また、避難先でも基本的な感染対策は徹底し、感染症予防にご協力をお願いします」
状況に即した対応が必要
--区が避難を呼びかけるタイミングは。
「区役所は、洪水や土砂災害の危険性が高まった場合、対象エリアに向けて『避難指示』を行います。まずは、ご自身のいる場所が対象エリアになっているかを確認していただき、その状況に応じた避難行動を開始してください。危険を感じたら、ちゅうちょせず速やかにその場を離れます。ただし、夜間など、周囲の状況が十分に確認できない中での移動は非常に危険です。そのような場合には、無理に外に出ず、建物の中の安全な場所に避難するようにしてください。基本は、『危険な場所から全員避難する』ということです。ご自身のおかれている状況を冷静に判断し、たとえ避難指示対象エリア外であっても、危険を感じる場合には速やかに安全な場所に向かってください」
--最後に区民へのメッセージを。
「『水害はおそらく起きない』『自分は被害には遭わない』と思ってしまうとなかなか行動に移すことができず、大きな被害につながります。例えば、平成30年に西日本に大きな被害をもたらした集中豪雨では、行政が避難指示を行った住民のうち、避難場所等に避難した方はわずか0・5%しかいなかったこともあり、200名を超える方が犠牲になりました。事前に十分な準備を行うこと、そして、いざという時には冷静に状況を判断し、正しく行動すること。それが、ご自分や大切な方の命を守ることにつながります。
どうか、災害の危険性を”自分ごと”として認識し、もしもの時に的確な判断ができるよう、日頃からの備えをお願いします」
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