自宅で珍しい実のつく苗木セットを配布している 福士 三夫さん 上矢部町在住 74歳
植物でつなぐ人の輪
○…「誰にでもお渡しするので、たくさんの人に育ててほしい。珍しい実がつきますよ」。自ら育て上げた「仏手柑」と「オクナ・セルラタ」の苗木のセットを自宅で無料配布している。これらは本来、年間を通して温暖な気候のもとで育つが、独自で増殖に成功。今回、横須賀で経営する養蜂場の創業20周年を記念して、地元の戸塚でも多くの人に知ってほしいという気持ちから配布を決めたという。
○…仏手柑との出会いは12年ほど前。静岡県河津町で「手の形になる珍しい植物だ」という農家の説明に引かれ苗木を2本購入、栽培を始めた。試行錯誤の末、今では300本以上になり「こんなに増えると思ってなかった」と驚く。2020年に「お世話になった恩返し」として横須賀でも仏手柑の苗木を配布。そのほか、円覚寺の脇寺をはじめとした日本各地の寺院にも寄贈するなど、植物の普及を兼ねた地域活動を行っている。
○…岩手県の農家に生まれ育った。50年ほど前に神奈川に移ってからは警察官として勤務し副署長にまで上り詰める。職務を全うする中で辛く悲しい思いをすることもあったが、癒してくれるのが山草だったという。そんな中、偶然テレビで養蜂の映像を見て「退職後は蜂をやろう」と決意し、自然に触れる環境に回帰した。現在は妻とともに多くの山々を訪れ、その土地の植物の写真を撮ることが趣味。
○…このほかにも栽培が困難な植物に挑戦し、普及活動を行っている。最近は「お互い様だから」と近所の剪定や草刈りも行うなど、植物を通じた交流は多岐にわたる。仏手柑についても「育ててくれた人が、もらった時のことを思い出し、また別の人に広めてくれればうれしい」と熱く語った。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>