今年改選期を迎えた戸塚区民生委員児童委員協議会の会長を務める 露木 光夫さん 深谷町在住 77歳
「なくてもいいが理想」
○…3年に一度の改選期を迎えた民生委員・児童委員。国から委嘱を受けて市民の暮らし・生活を支え、見守る役割を持つ委員は、現在区内に329人おり、そのかじ取り役を6年前から務める。役割を負担に感じることはないと強調しながら、「困りごとを抱えた人の立場に立ち、悩みを行政などの専門家に橋渡しをするだけでいい。町内会などから誘いを受けた人はぜひ仲間になってもらえれば」と話す。
○…大正地区の連合町内会長を務めた父の背中を見て育つ。高度経済成長期で「ブームだった」という大学の工学部を卒業後、そのまま研究者の道へ。歯車の装置などを研究していたときに、父親から「民生委員が若返りを図っているから」と指名を受け、35歳の若さで就任。大学では助教・教授と順調に駒を進めながら、民生委員としても活躍。42年が過ぎた。「市内でも珍しいんじゃないか」とその長さを認めつつ、「母子家庭の子どもの進路相談に乗り、後日『アドバイス通りに進みました』と言われて、『あぁ余計なことを言ったなぁ』と思い出すよ」と目を細める。
○…独立した2人の娘に、2人の孫がいる。現在は妻と「奥さんが連れてきた」という5匹の猫と暮らす。猫好きかと問うと「寄ってくるのはかわいがるけど、こないのはちょっとね」と茶目っ気たっぷりに笑う。
○…学者肌の性格。民生委員の仕組みや課題なども常日頃から思いをはせる。家族・社会構造の変遷で地域の結びつきが希薄化した中で、各種行政・団体が包括的に解決を目指す現在の形になったことを評価する。「困った人がいなければそもそも民生委員はいらない。ないのが理想」。あるべき社会の姿を追い求めるそのまなざしは柔らかく、温かい。
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4月18日