第215回 男のおしゃれ学 「哲学者のソクラテス」パリ本部FIMT国際デザイナー中嶌 敏男
脳は自分の好きな音はよく聞こえ、一方で聞きたくない音は無意識のうちに聞こえないようにしていると、よく言われる。
2〜3才の子どもが人ごみの中でも大好きなママの声ははっきりと聞こえる。朝から晩までガミガミ叱りつける亭主の怒鳴り声は、脳が受け入れなくなってしまう。世間ではこれを「馬の耳に念仏」という。
人間は、感情によって聞きたくないものは聞こえなくなるし、善悪の判断についてのバランスも変わる。どうやら、智恵よりも感情のほうが、人間社会では先行されるようだ。
アテネ生まれの哲学者であるソクラテスの言葉の中で、「人間は、正義と勇気を知っているつもりで知らない人が多い」といったものがある。そして大切なのは「漠然と生きているのではなく、よく生きる事である」と言っている。
ソクラテスのいう「よく生きる」という意味は、「周りの人によくして生きなさい」という教訓ではないだろうか。人間は理性だけではなく、感情もある。だからこそ100%完成された人は誰もいないはずだ。そんな自分の欠点に気が付いて生きている人が、他人を許すことが出来る人なのではないだろうか。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|
4月18日