計画停電の影響が、栄区の中核病院である「横浜栄共済病院」(桂町/細川治院長)にも及んでいる。同院の計画停電は「第5Dグループ」。自家発電装置を使い、安全確保は問題なくできているが、通常通りの電力は賄えず、外来診療の一部の検査や、会計などに支障が生じている。同院では「停電時間を確認の上、停電中を避けて来院してほしい」と呼びかけている。
病床数430床、18の診療科目があり、一日の外来平均は1000人の同院。3月11日の大地震発生直後に起きた停電には、自家発電装置を作動させ安全を確保したが、問題が発生したのはその後だった。
同院の自家発電には1時間あたり55リットルの軽油を要する。14日から始まった1日3時間の計画停電時に作動させると、すぐに備蓄燃料は底をつきかけた。付近のガソリンスタンドにガソリンを求める車が長蛇の列を作る中、何とか燃料を確保し、最悪の事態を回避した。
この事態を受けて、16・17日には東京電力などに計画停電対象地域からの除外などの配慮を求める要望書を提出したが28日現在、対応は未定のまま。現在は市場の燃料不足も解消され、同院でも最大10日分の軽油を備蓄できているが、先の見えない計画停電に戸惑いは隠せない。
地域医療支援病院の立場として
また、医療機関で最も心配されるのが、検査などに使用する高度医療機器への影響だ。CTやMRなどは自家発電では対応できないため、同院では停電開始時刻の1時間前に電源を落とす措置をとっているが、通電後も安全確認などを行う必要があり、すぐには使用できない。中には復旧まで1時間ほどかかるものもあるという。
検査の予約時間が停電時間にあたる人には、病院側から事前に連絡をとり、知らせているが、すぐに連絡がつかない場合も多く、対応に追われている。
停電が手術中の患者に影響することはない。しかし、「医師をはじめ、スタッフの精神的負担は少なくないだろう」と事務部長は推測する。患者を他の病院へ移すことはなく、他病院と連携を図りながら診療を続ける。
同院は横浜市から地域医療支援病院の承認を受けており、2次救急医療機関でもある。事務部長は「病院は命を守るところ。他の病院も困っていると思うが、中核病院として助けなければならない立場にある。その区別をする体制は必要ではないか」と訴える。
節電のため、院内は一部減灯。自家発電中はエレベータの数も制限される。入院患者への面会終了時間は午後7時までだが、停電が午後6時20分からの場合は終了時間を早めている。
停電についてはホームページ(http://www.yokohamasakae.jp/)で案内しているが、そのほかの対応策も検討中。「停電中やその前後は対応できないものもあり、混雑も起こる。停電時間外に来院を」と、計画停電への理解を求めている。
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