幻の名画 横浜で初上映 原爆の悲惨さ伝える 「ひろしま」 16日戸塚公会堂で
1955年にベルリン国際映画祭で長編映画賞を受賞したものの、一般公開が少なく「幻の名画」とされる「ひろしま」が12月16日(金)、戸塚公会堂で上映される。小菅ケ谷に住む主催者代表の竹岡健治さんは「人類が核について考えるいい機会。多くの人に見てもらいたい」と呼びかけている。
作品は、原子爆弾投下7年後の広島市の高校の場面から始まる。「毎日ビクビクして生きているんだ」と声を荒らげる男子生徒。突然、原爆症で倒れる女子生徒。一転、場面は原爆投下当時に変わり、映画は原爆の悲惨さや被爆者の苦しみを淡々と伝えていく―。
被爆した子ども105人の手記を集めた文集「原爆の子」が原作。全国の教師約50万人が出資し、関川秀雄監督が1953年に製作した。広島市民約9万人がエキストラとして参加。国際的な賞を受賞したが一般公開が難しく、鑑賞の機会が少なかった「幻の名画」と言われている。
竹岡さんは知人からの要望を受け、上映を企画。上映場所を押さえるとともに有志12人と実行委員会を結成、周知活動を展開している。「ひろしま」上映は現在、同作監督補佐の息子である映画プロデューサー・小林一平さんを中心に各地で取り組まれているが、横浜市内では初めて。竹岡さんは小林さんにも意向を伝え、快諾を得た。
広島県出身の竹岡さんは「実は県民でも原爆のことは深く知らない」。竹岡さんの父は原爆投下翌日に市内に入り被爆。自宅に帰った後はかぶった布団から一切出ずに、当時のことを口にすることはなかったという。「(父に)聞けば良かったと今になって思うし、映画を見て、やはり知らなかったなと。多くの人、特に若い人に見てもらいたい」
小林さんは「原発事故後、『子どもの未来のために』と言うが、核の脅威と命の尊さを知らなければその言葉は嘘になる。まずは大人が理解することが必要」と話している。
上映は午後6時30分から8時45分(開場6時)。当日券のみで大人999円、18歳以下500円。詳細は竹岡さん【電話】090・7405・4276、映画等については小林さん【電話】090・8961・5019へ。
|
|
|
|
|
|