25周年を迎えた栄区舞踊連盟の理事長 東 光菊さん(本名・酒井伸江) 鍛冶ヶ谷在住 58歳
「舞いは姿 姿は心なり」
○…5歳から88歳まで約120人が所属する栄区舞踊連盟。先月には25周年記念大会を開催し、会場の栄公会堂を埋めつくす観客を華やかな舞踊で魅了した。「何かやる時の結束はすごい」と笑顔。大舞台を終えて一息つく間もなく、盆踊りへの参加や秋の区民まつり、運動会に向けた舞踊指導と多忙な日々が続く。
○…「舞いは姿、姿は心なり」舞踊の師範だった母から言われたこの言葉をずっと心に留めている。栄区舞踊連盟の初代理事長でもあった母が亡くなったのは39歳の時。周囲からのすすめもあり、母の芸名「光菊」と弟子約60人を受け継いだ。偉大すぎる母の存在―。「そのあとを継ぐ責任の重さに悩んだこともある」と打ち明けるが、そんな時に助けてくれたのは「全員自分よりも人生の先輩だった」という弟子たち。「踊りは教える、人生は教えてもらう」と心に決め、明るく前を向いた。「踊りにはその人が出てしまうから、きれいな気持ちでいないと」
○…自宅で稽古をする母の姿を見て育ち、3姉妹の中で唯一、自然と日本舞踊を始め、10代で師範を取った。「踊りが好きなんです」と目を細める。「生まれ育った地に踊りで恩返しをしたい」。昨年の大震災後は踊る気になれなかった時期もあったが、踊りには観る人の心を和める役目もあることに気付かされた。「普段はGパンを履いて動き回っている主婦だけど『良い舞台だった』と言ってもらえる。同じ趣味を持つ仲間ができることも連盟の魅力だと思う」と話す。
○…子どもが好きで大学卒業後、区内の幼稚園で4年間教諭をしていた。今でも当時の卒園生の活躍を見聞きしたり、保護者とまちの中で出会って人のつながりを感じることもしばしば。小学校などでの舞踊指導も楽しみの一つだ。「日本舞踊は敷居が高いと思われがちだけど、もっと多くの人にやってもらいたい」踊りの楽しさをこのまちで多くの人に伝えていく。