"あの日"を伝えたい 41人の体験記を冊子に
20体の遺体は全部衣服が失われ、まるで泥人形のようでした―。
栄区やその近隣に住む41人の戦争体験記をまとめた冊子『わたしの8月15日』をこのほど、平和のための戦争展in栄実行委員会が発行した。
戦争を知らない世代が圧倒的多数になったことを受け、戦争の実態を多くの人に伝えようと1994年から活動している同会。これまで「平和のための戦争展」をはじめ、映画会や体験を聞く会などを催し、戦争の歴史を伝えてきた。
2008年からは終戦した1945年8月15日に焦点をあて、地域に住む戦争体験者に「その日どこで何をしていたか」を問いかけて体験記を募集。毎年開く戦争展の中で紹介し、大きな反響を得てきた。
『わたしの8月15日』は4年間で集まった体験記をまとめたもの。形に残して戦争展に足を運べない人にも伝えたいと、7人の編集委員が製作し、若い世代も読みやすいよう、語句にはルビや注釈もつけた。
体験者の当時の年齢や居場所、立場はさまざま。生々しい戦争の実態とそれぞれの思いが綴られている。しかし、同会の高橋きみ江さん(庄戸在住)は「体験者の中には、体験を話したり、書いたりできない人もいる。人としての尊厳を失い、戦うのが戦争。体験記を寄せた人の中にも、当時自らがせざるをえなかった悪事には触れていない人もいるだろう」とし、「こうした活動を繰り返すことで、伝え残そうと思う体験者が出てきてくれたら」と話す。横田博行さん(鎌倉市在住)は「当時の居場所によって感じ方がまったく違う。本当の戦争の姿はこれかと感じた」という。
同冊子は1冊300円。港南台の沖縄ショップ「がじゅまる」や同会で販売している。また、引き続き体験記を募集中。1945年8月15日を中心に、その前後の体験や当時感じたこと、今振り返って考えることなどを伝えてほしいと呼びかけている。文章にすることが困難な場合は口頭でも可。冊子の購入・体験記の応募方法などの詳細は横田さん【携帯電話】080・1246・1925まで。
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