NPO法人積み木 地域課題に向き合い、20年 配食やサロン運営 地道に
本郷台を中心に配食サービスや交流サロンなど多様な活動を行うNPO法人積み木(後藤喜久子理事長)が今月、発足から20周年を迎えた。時代の移り変わりに合わせ、さまざまな地域課題に向き合っている同会。高齢化が進む地域の中で、その活動は他団体の模範となることも多い。
現在、活動の担い手は約230人(ボランティアを含む)。16の班に分かれ、週4日、豊田や小菅ケ谷地域ケアプラザ、豊田地区センターで調理を行い、食事作りに不自由している高齢者や障害者約110人のもとに弁当を配達している。 本郷台中央公園前にある拠点「友遊ひろば積み木」では趣味の講座(18種類25教室)や交流サロンを日替わりで開催。子どもを連れた若い母親から話し相手を求める高齢者まで年間延べ3千人が出入りしている。
親思う気持ちきっかけ
離れて暮らす親たちの食生活は大丈夫だろうか―。理事長を務める後藤さんのそんな気遣いが発足のきっかけだった。周囲を見れば高齢者世帯も増えている。当時40代。「同じ地域で暮らす者同士、助け合いの必要性を感じた」と55人の仲間を集め、1994年11月から週1回の昼食配食活動を始めた。高齢者が低栄養になることを防ぎ、生活を見守る。目指すのは現在まで一貫して「誰もが安心して自分らしくいきいきと暮らせる地域づくり」だ。
活動を通して多くの地域課題が見えてきた。独居高齢者には日常的な食支援が必要なこと、語らいながら食事をする相手を求めていること、次世代にも働きかけが必要なこと。その度に配食日を増やし、食事会を開催、子育て中の母親を対象にした料理教室を開くなど活動の幅を広げてきた。
担い手の介護予防にも
同会のこだわりは、「多くの住民が地域の支え合い活動に関わることで地域への関心を高めること」。そのため、賛同者を多く集め、一人ひとりの負担を最小限にする体制を作っている。担い手の中心は60・70代、最高齢は86歳だが、「当事者意識を持って活動に関わることができ、介護予防にもなっている」と同会は話す。
11月17日には20周年を記念して、リリスホールで音楽会を行う(チケットは完売)。出演する若手注目株のバイオリニスト・山根一仁さんは本郷台に住んでいた中学生のころ、同会のサロンで演奏した一人だ。
「この会が続くことがとても大切だということを多くの人に理解してもらいたい」。地道な活動を続ける。
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