4月17日のYAMATO弦楽四重奏団の公演をプロデュースし、曲を提供する 幸松 肇さん 富岡西在住 72歳
民謡と弦楽四重奏の出会い
○…自身が「最上の音楽」と考える弦楽四重奏で日本民謡を演奏したらきっと面白いと作曲した「弦楽四重奏のための日本民謡」。それが、神奈川フィルハーモニー管弦楽団のコンマス石田泰尚さんの目にとまった。4月17日(木)には、幸松作品を石田さん率いる「YAMATO弦楽四重奏団」が演奏する4回目のシリーズ公演が開催される。「民謡とYAMATOの魅力、弦楽四重奏の音…3つの要素が集まって求めている音楽ができた。貴重な出会いです」と話す。
○…本職は東芝EMIで定年まで勤め上げたサラリーマン。忙しい会社勤めでも、早稲田大学時代に芽生えた弦楽四重奏への愛情は衰えることはなかった。取材に通された部屋の棚一面にはSPとLPがびっしり。聞けば、別の部屋にはCDが保管してあり、すべて弦楽四重奏のアルバムだとか。「ありとあらゆる角度から弦楽四重奏を味わうために、世界中から集めた」と顔をほころばせる。
○…今まで民謡をもとに作曲したのは全12曲。すべて著作権協会への登録はしていない。それも「多くの人に演奏して欲しい」という思いから。オーケストラ用も作ったが、一番合うのはやはり弦楽四重奏なのだという。「民謡はずーっと歌われてきたものだから、曲自体に力がある。だからハーモニーもすぐ見つかるし、アレンジがしやすい」。洗練された西洋音楽と素朴な民謡との融合は、どこか懐かしく耳に馴染む。
○…「地味で、日本で一番売れないジャンル」と弦楽四重奏を評すが、愛情は果てしなく深い。膨大な音楽を聴いて培ってきた弦楽四重奏への造詣は、評論などの執筆活動で生かしている。現在は、世界中に存在する800のカルテットを紹介する全6巻の本に取り組む日々だ。「読む人は限られていると思うけど、一般の人にも弦楽四重奏のよさを伝えたいんです」。一途な思いが言葉の端々から感じられた。
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