ヨーロッパに残る悲しい伝記 蛍のゆりかご ホタルブクロ 日本自然保護協会自然観察指導員金子昇(富岡西在住)
”虻(あぶ)ひとつ ほたる袋の 花に入り” 谷 鼎
ホタルが飛び交う頃、ちょうどこの花が咲き出します。私が子どもの頃、捕まえたホタルを花の中に入れ、提灯がわりにしたり、花の入口を手でふさぎ、強くたたいて大きな音を出して遊んだものです。名の由来は、ホタルを入れる袋、または花の形が「提灯」(火垂(ひだ)る-ホタル)に似るためと言われています。
学名「カンパニューラ・プンクタータ」は「鐘状の花の内側に紫の斑点がある」の意味で、美しい紫の斑点が目立ちます。昔、西欧州のある国に、カンパニュールというまじめで誠実な娘がいました。神様は誠実な娘であることを知っていたので、ある時娘に神の果樹園にある黄金のリンゴの見張り番を命じました。娘は毎日熱心にその勤めを果たしていました。ある夜、一人の泥棒が入り、果樹園を荒らしていたため、娘は神に知らせようとしましたが、かわいそうにその泥棒に殺されてしまいました。これを知った女神フロラは哀れに思い、娘を美しい花にしました。その花がホタルブクロだといいます。
ホタルブクロとよく似た仲間に「ヤマホタルブクロ」があります。その違いは、ホタルブクロは5枚の萼片の間に後方へ反り返っている部分がありますが、ヤマホタルブクロはこの反りが見られません。ホタルブクロは、関が谷市民の森や能見堂緑地から大丸山に続く山林でよく見ることができます。
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