10月24日、ホテルニューグランドでディナーコンサートに出演するフルート奏者 島田 亜紀子さん 富岡西在住 35歳
広げ続ける音楽の可能性
○…数々の賞を受けてきたフルート奏者。だがそれは一面に過ぎない。来月中区で催すのは、クラシックでは珍しいディナーコンサート。そんな、良い意味で「型破り」な演奏活動に力を入れている。チェロやサックスの奏者と共演し、子どもや若者も楽しめるカジュアルなコンサートにも力を注ぐ。「生演奏は奏者と観客が一体感を持てます。その良さをもっと伝えたいんです」と熱っぽく語る。
○…フルートとの衝撃的な出会いは小学生のころ。20世紀で最も偉大なフルート奏者といわれた故ジャン=ピエール・ランパル氏の演奏を聴きに行ったときだった。「すごい。あのつやつや光る楽器はなんだろう―」。その音色に魅せられ、フルートを習うことを決めた。「今思えば、曽祖父はお神楽の横笛奏者でした。何か縁のようなものを感じますね」。中学、高校とレッスンを重ね、音大でもフルートを専攻。奏者として力をつけていった。
○…それに飽き足らず、以前から興味のあった教育学を研究しようと、アメリカの大学院への進学を決めた。「私が心から熱中できて、人に何かを届けられるのは、やっぱり音楽だなって」。専攻は演奏と音楽教育。音楽をつくりだす楽しさを分かち合うリトミック教育などを学び、見事「音楽博士」の学位を得た。「博士号を取るというはっきりした目標があったから、頑張れました」と笑顔で当時を振り返る。
○…学びを生かし、地元金沢で音楽と英語の教室を開く。学校や福祉施設などで音楽指導をするなど、地域活動にも熱心だ。「まずは何でもやってみること」を信条に、音楽を通したさまざまな活動に関わっている。いま研究しているのは、音楽と医療との連携。「最初は暗い顔の人も、音楽に触れると顔色がふっと明るくなる。音楽には人の心を動かす力があるんです」。音楽の力をもっと広く伝えるために。その歩みは止まることを知らない。
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