全市立校に放射線測定器 保育・幼稚園に貸し出しも
横浜市は今年度中に市立学校全校に放射線測定器を配布する。9月以降、学校敷地内で「マイクロスポット」(局所的な高放射線量地点)になりやすい場所の測定を進めてきたが、各校に機器を置くことで定期的な測定を可能にし、保護者らの不安を取り除きたい考えだ。
放射線測定器の配布は市立の小中高校、特別支援学校など全512校を対象に実施される。市議会9月定例会で購入費として補正予算約8500万円が盛り込まれた。現在、入札等の準備が進んでいるが「台数が多いこともあり、設置は早くても年明け」(市教育委員会)になる見込みだ。
横浜市では福島第一原発の事故後、市内約700ヵ所で空間放射線量を測定。その結果、日常生活に支障のある数値が検出されなかったこと、さらに9月に入り港北区の道路側溝で周囲より放射線量が高い場所が発見されたことなどから、雨どいの下や排水溝、マンホールの周辺など「マイクロスポット」が発生する可能性が高い場所の測定に重点を移した。
特に子どもは放射線の影響を受けやすいとされていることから、同月20日以降、市立小中学校での測定を緊急的に行い、10月末までに全校の測定を終えた。その結果、市の再測定の目安である毎時0・59マイクロシーベルトを超える値が港北区や鶴見区、港南区、南区、金沢区などの小中学校で検出され、直ちに堆積物の除去が行われた。
市教育委員会では測定器設置の狙いについて「きめ細かい測定を可能にすることで保護者の不安を取り除きたい」と話す。また測定器は放射線に関する学習にも利用されるほか、近隣の保育園、幼稚園から要請があった場合には貸し出す予定で「運用に関するルール作りも早急に詰めたい」としている。
学校での測定が進む一方、市が所管する道路や公園といった生活空間での放射線の測定は進んでいないのが現状だ。今後は測定器を追加購入し、体制を充実させる予定。ただ専任の人員はおらず「通常の業務に測定を組み込むことになると思う」(市健康福祉局)としている。
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