横浜市は、海洋を利用した地球温暖化対策として「ブルーカーボン実証事業」を八景島で開始した。12月4日のオープニングセレモニーでは、専門部会や地元小学生によるワカメの種付けなどが行われた。
地球温暖化対策では長らく森林による二酸化炭素(CO2)の吸収(グリーンカーボン)に主眼が置かれてきた。だが、2009年の国連環境計画の報告書で、植物プランクトンや海草などの海洋生物の重要性が指摘され、その流れは変わる。同報告書では、海洋生物によるCO2の吸収を「ブルーカーボン」と命名。地球上のすべての生物が吸収するCO2の55%を占めると推定している。
横浜市は南北に長い沿岸部を持つことから、海洋での取組みが特に有効だと考え、横浜・八景島シーパラダイスの協力を得て事業に着手。予備調査を経て、10月末に検証用イカダを島内のセントラルベイに設置した。今後はイカダに植物プランクトンや海草類が付着するプロセスを観察し、温室効果ガスの吸収・固定化の効果と海域環境への影響(海の浄化)などを検証していく。
オープニングセレモニーではイカダのお披露目や実験概要の説明などを実施。イカダにつるすロープにワカメを植え付けるイベントには、地元小学生ら約50組が参加し、1つ1つ丁寧に結びつけた。来年3月には育ったワカメを収穫して食べる「収穫祭」も行われる予定だ。
また、専門家や大学教授らで構成する第1回ブルーカーボン専門部会も開かれ、活発な意見交換が行われた。同会委員の東京海洋大学の刑部真弘教授は「沿岸域のCO2吸収はかなり多いと推測されるので、しっかりした仕組みを作れれば。実験を通して海を大事にする意識を深めることも大切」と話した。部会では実験の検証のほか、海洋バイオマスエネルギーの利活用手法や経済的価値を創出する仕組みづくり、環境啓発の実施などを行っていく。
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