平成23年度神奈川県教育委員会表彰を受けた 吉田 一希さん 釜利谷高校3年 17歳
福祉への思い まっすぐに
○…青少年赤十字活動(JRC)同好会をたった一人で立ち上げ、他の生徒の活動の場を作ったことが評価され、県教委表彰を受けた。「つくりたかったからつくったんです。受賞は、正直何で?と思いました」。献血や歳末募金の呼びかけはもちろん、ボランティアサークル「釜利谷サポートチーム」とも連携して活動する。枯れることのないバイタリティの源泉は、彼自身の境遇にあった。
○…生まれつき左目はほとんど見えず、矯正視力も0・3ほど。授業に使うプリントも拡大が必要だ。そのハンディにも、「周囲の理解があったから、重荷に感じたことはありません」と言い切る。小中学校ではブラスバンドや木琴部で活動し、その積極性を身につけた。やがて、人の役に立てる福祉職を志すようになる。「一度決めたら突っ走る」と自らを評するとおり、さまざまなボランティアに参加した。
○…青少年赤十字活動との出会いは1年前。国内外の高校生が集う研修会へ参加した。「いろんな壁を取り払ってみんなと交流できました」と振り返る。志を同じくする高校生との出会いが刺激になり、「釜利谷高にも組織をつくりたい」と決意。教員らを巻き込んで、今年3月11日、同好会を設立した。くしくもその日の午後、大地震が発生。他校と協力し、一週間後には駅頭で募金を実施した。「ねぎらってくれたり、『ぜひ協力したい』と激励してくれる人ばかりでした」。その後も、毎月11日に校内募金を続けている。
○…こうしたたゆまぬ活動が生徒の共感を得て、現在では部員も16人まで増えた。そんな”敏腕部長”の目標は、「音楽療法を学んで、福祉施設で働くこと」。音楽とボランティアの経験を生かし、専門学校で福祉の勉強をするという。大好きな曲は、いきものがかりの「ブルーバード」。その一節と同じように、未知なる世界へ、その羽を広げ、飛び立つ。
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