並木在住のパントマイマー・遠見幸蔵さん(61)が、東日本大震災で被災した岩手・宮城・福島の3県を3回にわたって訪れ、パフォーマンスした。年明け後も引き続き訪問しようと、活動を続けている。
パントマイムを披露する遠見さんの周りに、子どもたちが集う。避難所にひとときの笑顔が戻った―。
「報道で被災地の子どもたちが沈んでいる姿を見て、他人事じゃないなと」。3月11日の大震災は、子ども好きで3人の孫を持つ遠見さんに、「何かしなければ」という気持ちをもたらした。「今自分にできるのは、パントマイムだけ」と被災地訪問を決意した。
この話を聞いたパントマイム仲間はもちろん、仕事の関係で所属する異業種交流会「横浜テクノプラザ」メンバーらが協力。資金のほか、子どもたちへのお菓子やバルーンなどを大量に調達した。それらを自動車に詰め込み、4月末に単身で被災地入り。車両の立ち入りが制限される中、岩手県陸前高田市や宮城県気仙沼市、南三陸町などを訪れた。深刻な津波被害を受け、広がるがれきの山を目の当たりにした遠見さん。「この状況で本当にパフォーマンスをして良いのか、最後まで悩みました」と振り返る。
それでも、避難所を一軒一軒訪ね歩くと、「ぜひやってほしい」という声が。了解が得られたところで次々にパフォーマンスした。「中途半端では失礼ですから、衣装もメイクも完璧にして、懸命にやりました。そしたら、驚くほど反応が良くて」。一気に6カ所の避難所をまわった。
遠見さんは区内福浦の機械メーカーに勤務。11年前、孫娘の優季さんが誕生したのを機に、「孫と一緒にできることを始めたい」とパントマイムにチャレンジ。会社勤めをする傍ら芸を学び、野毛大道芸ほか各地で活躍するまでになった。区内でも、福祉施設や小学校などを精力的に訪問。現在では小学5年生になった優季さんが加わることもある。
現地からの希望もあり、再度陸前高田や気仙沼を訪問した8月には、優季さんも同行した。「あの子も何かしなければと考えたんでしょう。今回のことでだいぶ成長しましたね」と、遠見さんは孫の変化に目を細める。
今月11日で震災から丸9ヵ月。遠見さんは、「百聞は一見にしかず。報道とはまったく違う被災地の様子を、一度は見に行っても良いと思います」と呼びかける。「ここまでできたのは周囲の支えのおかげ。これからもできる範囲のことをしていくだけです」。年が明け、雪解けを待って再度の訪問を計画しているという。
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