今日も健康日和 父の死が教えてくれたこと 区医師会リレーコラム【1】
昨年11月、私は父を亡くしました。糖尿病、大腸がん、心筋梗塞など、父はいろんな病気をしましたが、最終的な原因は誤嚥性肺炎でした。
高齢者の肺炎の約8割が誤嚥性です。実はこのタイプの肺炎は、日々のブラッシングなどで口の中を刺激し、嚥下反射を鍛えることで、発症率を40%減少させることができるんです。ブラッシングや入れ歯の調整などの口腔ケアは、年をとるとつい”ないがしろ”にしがち。ですが、やる人とやらない人とでは大きな差が出ます。
近年、父は食べる時にむせやすくなっていましたが、私は「年寄りだから仕方ない」と見過ごしていました。むせやすいということは、誤嚥する可能性が高くなっていたということ。私は医師として、家族として、こうした兆候を見きわめることができる立場にあったのに、一番基本的な対応ができずに死因をつくってしまいました。
口は空気の通り道。口腔ケアは特に消化器系の病気に大切ということが、見落とされがちになっているように思います。私も、自分の親のことがあって、その重要性を再認識しました。
これからの高齢化社会、予防医学はますます重要になってきます。こうした基本的な知識の共有を医師と歯科医師とで行い、自分のまわりから不幸な人たちを失くしていきたいですね。
取材協力/金沢区医師会
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