瀬戸神社(佐野和史宮司)で12月16日、「本殿遷座(せんざ)祭」が行われた。83年ぶりに行われた本殿の改修工事が完了したことに伴い、仮殿に移してあった神体を戻す神事で、当日は多くの地域住民らが見守った。
すっかり日が沈み、あたりが闇に包まれた午後5時30分、祭儀が始まった。装束姿の神職や氏子総代が、瀬戸町内会館を出発。木遣り歌とともに列を成して神社へ進むと、街は途端に厳かな空気に包まれた。国道16号を渡り、神社に入った一行は、仮殿へ。佐野宮司が祝詞を奏上した。
神体の移動は、浄暗(じょうあん)とよばれる夜の闇の中で行うのが古来のしきたり。「遷御(せんぎょ)の儀」に入ると、2本の松明に火が灯され、一切の照明が消された。火に導かれるように、神体を持った行列が仮殿を出て、ゆっくりと本殿に入った。無事に奉安が終わったことを知らせるように、再び照明が点灯。氏子らも立ち会う中、本殿で儀式が行われた。
訪れた大道在住の女性は、「すごく厳粛だった。一生に一度の神事に立ち会えて、ただただ感激です」と話していた。
「地域の心ひとつに」
瀬戸神社の創建は鎌倉時代。現在の社殿は約200年前に再建されたもので、1929年には屋根の葺き替えが行われた。老朽化や台風被害などで屋根や本殿が傷んでいたことから、神体を仮殿に移して今年6月から工事が行われていた。
今回、拝殿正面にある「瀬戸之神社」と書かれた社号額(松平定信筆)を文化財庫に収蔵。代わりに、小泉純一郎・元首相が揮毫した新しい額が掲げられた。その他、拝殿内の大絵馬(江戸時代)の復元や、狛犬の修復なども実施する。
神事の後の「直会(なおらい)」であいさつに立った佐野宮司は「おかげさまで無事に竣工し、お正月は新しい社殿で初詣していただける。このご造営(改修)を機に、地域の皆さんの心がひとつになり、飛躍していくきっかけになれば」と話していた。
|
<PR>
金沢区・磯子区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|