金沢区内の称名寺と朝夷奈切通を含む「武家の古都・鎌倉」の世界文化遺産登録について、神奈川県、横浜市、鎌倉市、逗子市の首長が5月27日、推薦取り下げを国に求める意向を表明した。国際記念物遺跡会議(イコモス)の厳しい評価結果を受け、再挑戦への道を選んだ形だ。
イコモスは4月30日、鎌倉について、世界遺産一覧表への「不記載」が適当との勧告をユネスコに対して行った。勧告は、武家の古都としての「証拠が欠けている」と指摘した上で、「普遍的な価値が証明できていない」と結論づけた。
このまま今月行われる世界遺産委員会に臨み、不登録となった場合、原則として再度推薦はできない。4県市は、イコモスの厳しい勧告内容から、一旦推薦を取り下げることが登録実現への「最善の道」と判断。黒岩祐治知事は、「鎌倉は世界遺産にふさわしい街。いずれ登録できると確信している」と述べた。
区内 「活動継続」
鎌倉幕府の重要な外港「六浦津」を抱えていた金沢。北条実時が興した称名寺(金沢町)はその拠点、朝夷奈切通(朝比奈町〜鎌倉市十二所)は交通の要衝として、「武家の古都・鎌倉」の構成資産に加わっていた。林琢己区長は、「非常に残念だが、今後も日本の誇るべき資産である称名寺と朝夷奈切通を区民の皆様と守り、魅力を伝えていく」とコメントした。
登録に向け、街歩きや講演会を企画してきたNPO法人横濱金澤シティガイド協会の廣田保理事長は、「不登録は想定外」と肩を落とした。そのうえで、「情報発信が足りなかった。埋蔵文化財の発掘、保存、復元への取り組みが万全だったのかも、疑問がないわけではない」と分析した。橋本藤子副理事長からは、「2史跡の価値を見直し、保全するきっかけになったのは良かった」と評価する意見も。同会が毎週土日に行う称名寺での定点ガイドでも、興味を持って耳を傾ける参拝客が増えたという。
今後は、2史跡のみならず、「金沢八景」として金沢区全体をPRしていくというメンバー。「史跡の価値が下落したわけではない。これからも地道な活動を続けていく」と意気込んだ。
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