山岳写真の個展を開く 清村 栄さん 谷津町在住 71歳
名峰の「記憶」写す
○…四季折々、一瞬一瞬、違った表情を覗かせる山々を20年来撮り続けてきた。相鉄ギャラリー(泉区)で開く個展「美しき日本の名峰」のタイトルにこめたのは、日本の山々の素晴らしさを伝えたいという願い。フィルムに焼き付けた51の場面が会場に並ぶ。
○…東京都出身。21歳の時、会社の先輩に誘われて山岳会に入った。「スポーツ登山の考えが強く夏は岩山、冬は雪山で合宿をした。写真を撮ることはなかったね」と話す。見方を変えたのはそれから30年後、家族で出かけた上高地の風景。美しさに衝撃を受けた。「あぁやっぱりいいな。記憶にしかない山を今度は記録に残そう」。ミノルタの35㎜フィルムカメラを手に取った。
○…時代が変わっても相棒はフィルムカメラだ。「色合いに深みがある。稜線が自然のままに柔らかに映る」と魅力を語る。穂高・涸沢(からさわ)で撮った、とっておきの一枚がある。日の出から30分後、雲間から差した光が紅や黄に染まる木々を鮮やかに彩った。その一瞬にシャッターを切った。「自然の造形美。場所や天候によって2つとない写真になる。だから終わりがないんだよね」と熱をこめる。
○…「山岳写真家は辛抱強くないと」と言いつつ「じっとしてるのはダメ」と笑う。70歳を過ぎてアルバイトを開始。バレーボールチームにも所属し、10代に混ざって試合を行うことも。写真撮影は毎月出かける。車で寝泊まりしたり、登山をしたりすることも多い。「1日11時間歩いた時はまだ元気だなと思った」。山岳会で培った体力や登山の知識が生かされているという。
○…東京五輪の7年後までに、深田久弥の日本百名山を制覇し個展を開くのが目標だ。「原作に忠実に撮りたい」とページをめくる。利尻山なら夕暮れ時、礼文島から黄金色に染まる頂を―。来春スタートを目指し準備を始めたばかり。「どう進めようか」。100峰目をファインダー越しに覗く日に思いをはせる。
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