画家の坂下昿吉(こうきち)さん(69・中区在住)がこのほど、金沢区の風景を描いた油絵『金澤湊平成詞絵(かなざわみなとへいせいことばえ)』5枚連作を完成させた。同作は5月25日(日)と6月1日(日)に金沢文庫ふれあい会館で展示される。
『金澤湊平成詞絵』は「富岡」「長浜」「金沢文庫」「金沢八景」「六浦」の景色を描いた5枚連作で、サイズはすべて30号(横幅92cm、縦幅74cm)。それぞれ海側の上空から海岸線を覗く構図で描かれている。油絵で描かれているが色合いは決して濃くはない。坂下さんは「日本画のような情緒が必要と思い、淡い色合いにした」と話す。
テーマは「湊」。六浦湊が鎌倉幕府の外港とされた時代から現在に至るまで金沢には船が往来し続けていることから「海岸線のまちを描きたい」という思いがあったという。手前の海と奥の山に挟まれ、人々が躍動的に動いている。
絵の時代背景は室町時代が中心ではあるが、特に限定はしていない。「それぞれの地区に伝わる様々な民話をもとに、想像を交えながら描いた。描かれた人々を見ながら、自由に物語を紡いで貰いたい」と話す。
坂下さんが金沢区の魅力に初めて気がついたのは4年前。海や山の風景を見ながら「歴史に面白みがありそう」と直感したという。その後図書館や区民活動センターで民話を調べた。「富岡に住んだという青砥藤綱の逸話や、朝比奈とゆかりのある照手姫伝説などを見聞きしながら、想像を巡らせました」。区内をくまなく歩き、構想を練った。
普段は何度も描き直すことが多いというが、今回は「一気に描けた」という。10カ月間ほぼ休むことなく、朝から晩まで描き続けた。
同作は5月25日と6月1日、金沢文庫ふれあい会館で行われる展示会で発表される。
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