4月10日から金沢区手話サークル「橋の会」の会長を務める 川井 征さん 堀口在住 74歳
忙しさが日々の活力
○…「サークルが何をしてくれるのかではなく、自分はサークルに何ができるかを一緒に考えましょう」――会長就任時、ケネディ大統領の演説になぞらえて挨拶をした。昨年、創立40周年を迎えた歴史ある手話サークルのトップを務める気負いはない。「今回、自分は”たまたま”会長になっただけ。出来る範囲でお互いが協力をしていく参加型の会にしたい」と話す。
○…高校卒業後に山形県から上京し、電車の中で手話を初めて見た。「しゃべれない人は、こうして意思疎通を図るんだ」。この時から「いつかは自分も手話を」と興味を持ち続けてきた。その願いを叶えたのは定年後。橋の会の入門講座を受講したことがきっかけだった。最初は難しさに頭をかかえたが、「せめてろう者と交流できるくらいにはなりたい」と交流会に積極的に参加し実践を積んだ。「手話は英語と同じように一つの言葉。だから思い切って話す度胸も必要なんです」
○…定年後、始めたことがもう一つある。好きな時にできる仕事を持とうと、国家資格の「マンション管理士」に挑戦したのだ。不動産関係の仕事をしてきた手前、自信はあったが過去の問題集を前にしてみると「全然解けない」。それから半年、ねじりはちまきで1日4時間勉強し、合格率7%という難関を1発で突破した。今では管理組合などからの相談に対応し、夜遅くまでパソコンに向かう毎日だ。
○…息抜きは、365日欠かさないという晩酌。健康診断で引っかかり医師から「控えるように」と言われても「飲むことが自分の健康法」と笑う。「いつ死んでもいい」と言い切るのは、毎日が充実しているからこそ。忙しさを活力に、「生涯現役」を宣言する。時には仕事に集中しすぎて、妻に叱られることも。「悪いなぁとは思っているが、照れくさくて伝えられないんだよねえ」。気持ちを伝える難しさは、言葉でも手話でも変わらない。
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