第69回現代俳句協会賞の表彰式が10月25日に行われ、句集「カルナヴァル」を書いた金原まさ子さん(長浜在住・103歳)が、特別賞として表彰された。
受賞について金原さんは「嬉しさ」と「驚き」が入り交じった感情だと話す。「実際に見た景色を言葉にするのが『正道』としたら、私の句は頭の中で作ったイメージばかりで、ある意味『邪道』。表彰されるとは思わなかった」
「わが足のああ堪えがたき美味われは蛸(たこ)」――受賞した句集の中で、本人が特に気に入る句のひとつだ。自分自身が蛸になり、自らの足を食べていく強烈なイメージが脳裏に浮かび、言葉にした。「食べる、眠る、排せつ、生殖。生き物による『種の保存』のための営みが、私にとってのテーマです」。金原さんはこのテーマを「死とエロス」という言葉で表現する。
100歳から始めた「一日一句」のブログ更新も続いている。次々と生まれるイメージの源はテレビ鑑賞と読書。本は新刊を中心に読み、テレビは「1日中つけっぱなし」だ。
「”壁ドン”も気持ちはわかるんです」という。「壁ドン」とは女性を壁際に追い詰めて迫る男性の行動を表すネット用語。恋愛漫画でワイルドな行為として描かれ女子中高生の間で流行している。こうした「若い感覚」も金原さんにとってはすべて「俳句の肥やし」となる。
「これからもっと人生を色濃く過ごして、見聞きしたものを俳句に反映させていきたい」と意気込む。「わたくし、枯れようだなんて思いません」――”これっぽっちも”と、人差し指と親指をギリギリまで近づけてみせ、笑顔で話した。
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