9月29日から臨時閉館していた神奈川県立金沢文庫が12月12日(金)、業務を再開する。
金沢文庫は9月初め、国指定重要文化財の仏典カバーの一部に白カビが発生しているのを発見したため、閉館していた。カビがあったのは、全部で3486帖ある「宋版一切経」。1帖ずつカバー状の帙(ちつ)に入れ、171の木箱に収納していたが、そのうち131箱でカビが発生した。
カビの原因として考えられるのは、収蔵庫の湿度だ。通常、収蔵庫内の温湿度は温度20℃、湿度60%に設定されている。だが、「空調能力の低下で高湿度になっていたのではないか」と副文庫長の佐藤清さんは話す。また、宋版一切経が保管されていた近くの送風口が一時預かりの資料でふさがれていたことから、周辺の空気の流れが滞っていたとも考えられている。
現在の施設は1990年に完成。空調設備の耐久年数は20〜30年と言われている。金沢文庫は不具合が生じる度に、専門的修理を重ねてきた。今年度の金沢文庫予算額は維持・運営費で4772万円(人件費除く)。抜本的な対策は空調設備の全面的な更新だが、配管などを含めると億単位の予算が必要とされる。県教育委員会教育局の担当者は「貴重な資料を保管し残すのは私どもの大切な役目。何が必要かを見極め、対応していく」と話す。今後は関係機関と協議を進め、空調設備のリニューアルを含めて検討していくという。
金沢文庫は再開に向け、10月1日から1週間、収蔵庫の燻蒸作業を実施したほか、発生したカビを筆で除去。また空調設備の応急的な修繕を行ったほか、除湿器と扇風機を複数設置し、温湿度の管理を徹底させた。佐藤副文庫長は「今は空調設備の更新が出来るまでの過渡期。温湿度の管理を徹底し、状況に応じて対応することで、乗り切っていきたい」と話した。
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