地元志向が高まる昨今。求人求職の現状は、地元で働く価値は――。金沢区の仕事事情を取材した。
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「景気回復の傾向にあり、昨年から特に求人の増加と求職者の減少を感じている」と話すのは、ハローワーク横浜南(寺前)・事業所部門統括職業指導官の中村慎治さん。神奈川県労働局が発表した労働市場速報によると、2010年5月以降有効求人数は増え続けている。「金沢区は工業地域の製造業からの求人が多いこともあり、同様の傾向にある」と中村さんは話す。
求職者は減少傾向にあるものの、働く意欲の高い中高年齢者(45歳以上)は増えているという。同所の昨年12月の有効求職者数は3341人。そのうち中高年者は1743人と半数を上回った。「元気なうちは働きたいという人が増え、70歳の人も相談に来る」
求人も増えていることで、これまで横浜市内や東京都内で求職しなければならなかった人も近場で職を得やすくなったという。「地元はやはり近距離で通いやすい。長続きするので地元の人が欲しいという企業もある」と話す。
積極的地元志向 強まる
横浜市立大学国際総合科学学術院の影山摩子弥(まこや)教授は「地元志向のトレンドは2000年代に入ってから」と説明する。都会と地方の賃金や情報格差が縮まり、若者が息苦しいと感じる田舎特有の共同体も崩壊傾向にあることが影響しているという。
また、地元志向の内容にこの数年で変化が表れている。「かつてに比べ、自分の力で地元を変えたいという意欲のある学生が地元就職することが多くなったと感じる」。地方が”ミニ東京”を目指していた高度経済成長期とは異なり、多様性や地域の個性を認める時代になってきたことも要因の一つだという。貴重な労働力が戻れば地元も潤う。「しかもそういった積極的な学生は仕事でも自分の力を発揮できる人材。企業側にとって即戦力になる」と影山教授は話す。
就職を考える学生のほか、その年齢以上の人の多くも地元志向傾向にあるという。「住み慣れた街を捨て新しい街に住むのはリスクがある。職住接近が良いと考える人が多いのでは」と指摘する。「金沢区は漁業や団地も多く、地元への思いが根付きやすい」と話していた。
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