5月16日に行われる「瀬戸神社居合道奉納演武」で役員を務め、演武を行う 鈴木 一さん 六浦在住 60歳
通勤電車が鍛錬の場
○…片道2時間の通勤電車を、鍛錬の場とする。「つま先立ちをしたり、イメージトレーニングをしたり。何もしないと時間がもったいないですから」と爽やかな笑顔で話す。自宅で練習する時間がなかなか取れないことを悔しがるが、それでも「稽古方法を工夫する努力も大切だと思う」と前向き。瀬戸神社で行われる居合道奉納演武に向け、わずかな時間も、稽古を欠かさない。
○…「凝り性なので、何でも一生懸命やりすぎる」と苦笑する。かつて趣味だったゴルフは、練習場に毎週通い500球打った。しかしこの熱の入れ方は、腰痛を招き、ゴルフの継続は断念せざるを得なくなった。腰への負担が少なく、長く続けられる趣味はないかと探し、出会ったのが居合道。一見すると静かな動きだが、やってみると疲労感が大きい。流れる汗の量は、運動好きの自身を満足させるに十分だった。そして「やっぱり大汗をかいたあとのビールが最高」と笑顔。
○…川崎市水道局に勤め、水道管の維持管理などを担当。「蛇口を捻れば水が出る」という当たり前の状況を失わないよう、尽力した。「住民が迷惑しないように老朽管を取り換えるにはどうしたらよいか」――紙とペンを取り出し、その方法を説明してくれた。図面にさらさらと配管経路を記していく姿は「職人」そのもの。今年3月に定年退職。4月以降も水道関連の団体に勤め、その知識を生かしている。
○…昨年、新築を建てたばかり。そのため家で模擬刀を振るわけにはいかない。「ゴルフの時はアイアンを降って家の電灯を壊した。あの失敗は繰り返せないな」と笑う。休日は神社の広い敷地で練習だ。居合道を初めて10年余、段位は6段。目標はさらなる段位と「どこにいても柄の感触や道場の空気がイメージできる」という域だ。「居合道は体が動く限り続けられる奥深い武道。仕事と両立させ、続けていきたい」
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