横浜市が推進する「横浜子育てサポートシステム」。地域住民が子どもの預かりなどを行い地域ぐるみの子育てを目指す事業だが、預かり手不足が喫緊の課題だ。また、利用目的も単なる子育て支援から、養育者の悩み解消の一助へと広がりを見せ始めている。
2001年度から全市で始まった同事業。子どもを預ける「利用会員」、預かる「提供会員」、どちらも兼ねる「両方会員」に登録した会員の中で依頼やサポートを行う。生後57日以上から小学6年生までが対象で、1時間800円から利用可能。提供会員宅での預かりが原則で、病児預かりはできない。提供会員は説明会や研修を受け、コーディネーターを交えた利用者との事前打ち合わせを経て活動を開始する。
預かり手、利用者の半数
区支部事務局は12年10月、区社会福祉協議会から地域子育て拠点「とことこ」に移管。月平均250件の利用がある。保育園や幼稚園の送迎が最多だ。
移管前の11年度に比べ、利用件数は約1・7倍に増加。「まかないきれていないのが現状」と担当の原和美さんは話す。5月2日現在、区内の利用会員327人に対し、提供会員は105人。両方会員34人を合わせても、預かり手は半数に満たない。自宅での1対1のサポートを不安がる人が多いという。
専門スタッフが常駐するとことこで提供会員が子どもを預かることができる「お試し保育」を、移管の12年度から1時間500円で開始。期間限定で行ってきたが、昨秋から通年に変更した。また入会説明会も地域ケアプラザなどを含め月3回行い、講習会を企画するなど預かり手増員に努めているという。
利用目的が多様化
利用の増加に伴い、目的の幅も広がりつつある。提供会員のうち多く活躍しているのが、子育てをひと段落した50代の女性。「最近では一緒に朝の支度や食事の用意をしたいという母親が増加傾向にある」と原さん。単なる送迎や預かりの他に、経験者の助言を求めるなど利用目的が変化している。「専門家でなく”隣のおばちゃん”の一言だからこそ受け入れられるのでは」。子どもと一緒に養育者も成長し、心のゆとりを持てるのも同事業の利点だという。「基盤ができれば大手を振って利用者を受け入れられる。地域の温かいつながりがひとつでも多くできれば」と原さんは話した。
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