金沢文庫病院の院長で6月17日に神奈川県病院協会の会長に就任した 新江 良一さん 東京都在住 62歳
”変な医者”いてもいい
〇…神奈川県内の288の病院が加入する県病院協会の7代目会長に就任した。「県民の命と健康を守り、予防医学を広めるのが私たちの使命」と襟をただす。力を入れるのは災害時の医療体制作り。他県との包括協定を広げ、相互に助け合う体制を整えるなど積極的な事業の展開を誓う。
○…「じっと座っていられず、よく教室を勝手に抜け出していた」と小学校時代を振り返る。教師に貼られたレッテルは「協調性がない」。母親にも叱られたが、医師だった父親は「そんな教師のことは聞かなくていい」と黙認してくれた。進路を決めるのに、強い志があったわけでない。勤め人はできない。「男子たる者、国を守れ」という父親の勧める防衛大学は目が悪くていけない――消去法で残ったのが医師だった。「自由気ままな稼業だから、向いているのでは」という教師の助言も後押しした。
○…東京医科大学に入学したての頃、ガタイの良い上級生に囲まれ「メシ、食いに行くか」と半ば強引に連れて行かれた。薄々、部活動の勧誘と気づいていたが、何部か分からない。寿司をたらふく食べ、その後キャバレーへ。酩酊した翌朝、目が覚めたのは相撲部の寮だった。「辞めるとは言えないよね」。6年間、相撲に打ち込んだ。二子山部屋に寒稽古に行き、初代貴ノ花や隆の里の胸を借りたことも。「バットを持っても勝てない。人間じゃない強さ」と懐かしむ。家に帰る暇もない外科医時代をこなせたのも稽古で培った体力があったからこそ。「相撲で鍛えていて良かった」
○…多忙を極める中、趣味のクラシックコンサートに行く機会はめっきり減った。それでも「9月にブロムシュテットが振るので、何とかして行きたい」と目を輝かせる。スポーツから音楽まで幅広い趣味で「人間力」を培う。「たまには”変な人”が会長をやらないとね」とニヤリ。型にはまらない柔軟さと牽引力で協会に新しい風を吹き込む。
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