初めての個展を開く、チョークアーティストの 小泉 奈穂子さん 釜利谷東在住 30歳
「自分に万歳できる人生を」
○…黒板に色鮮やかな絵を描くチョークアート。「元気になると言われるのが一番嬉しい」。喜びの反応や笑顔が次作への原動力だ。楽しみに待ってくれる人たちのために、今度は「自分から発信して一本立ちしたい」。30歳の節目に、初となる個展開催を決意した。
○…実家は祖父から続く「看板屋」。もの作りをそばで見て育った。だが絵は好きなものの落書き程度。友達を作るや否や高校も半年で中退。「10代はその日が楽しければ良い。先のことは考えていなかった」と苦笑いする。カフェや音楽、興味を持って飛びついては挫折。気付けば周りは進学に就職にと一歩を踏み出していた。「わたしの時間だけ止まっていた」。朝まで仕事を掛け持ちする生活に、焦りや不安も加わり救急搬送されたのはそんな時だった。
○…「絵だけは描いてきたね」――。療養時に言った母の一言が胸に響いた。「褒められることは少なかったけど、絵があったと気付いた」。同じ頃、手伝い始めた家業。「祖父の時代の看板は手描き。手作りに惹かれた」。指で描くチョークアートなら自分の絵を生かせるのではと思い立った。教室に通うも周囲のレベルに圧倒され、また挫けそうになることも。だが、厳格な祖父が時に涙を浮かべ、毎晩聞かせる苦労話に徐々に心が固まっていった。
○…「VIVANA」のペンネームで活動する時も。「自分に万歳できる人生を送りたい。ビバ奈穂子の意味」と笑う。10代以来の人脈が生き、結婚式のウェルカムボードや店の看板を任されるように。大事にしているのは依頼者の要望。「話さないと描けないものがある」。特別な日のボードは、初デートの場所やゆかりの品など、丁寧に聞き出した心づくしの脇役で彩る。「絵は繋がるツール。人と触れ合うのが好き」。自分らしさを生かし黒板に向かう。目標は教室を持つこと。「いつでもどんな自分でも頑張ればできる。自分の生き方でそれを伝えていければ」
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