2月7日に第14回NAU21世紀美術連立展で奨励賞を受賞した日本画家の 飯田 文香(あやか)さん 柴町在住 25歳
絵は「人生最上の楽しみ」
○…華奢な印象とは対照的に、身長よりはるか大きな絵を描く。透明感ある色彩と息吹を感じる植物――迫力の画面だが葉一枚一枚の葉脈まで細やかだ。「描きつめる人」と評価される若き日本画家は、40分の1の座を掴み、国立新美術館で来年行われる現代アート展の展示ブースを獲得した。
○…「植物は育つ順番に、下から描くと良いよ」。文庫小1年で教わった言葉が原点といえる。腑に落ちたと同時に感動を覚えた。絶対的なルーツは、毎年盆と正月に帰省する岩手の風景。「土、山、匂い全て好き」と柔らかにほほ笑む。作品に度々登場する植物はこの原体験に基づく。「茎から葉のライン、葉のつくるリズム。魅力は尽きない」。小5で絵画教室に通うと、日本画の絵の具や素材に魅せられた。「画面からはみ出して描くタイプ。大胆で良いねと褒めて伸ばしてもらった」
○…どっぷり浸かった絵画から「離れてみよう」と運動部に所属した高校時代。描きたい衝動を抑えきれず美大を志すように。1年間の浪人時代は「反動で、描く描く描くの毎日が楽しかった」と笑う。多摩美大日本画科へ進むと「自由に、好きにやれ」の教えのもと才能を磨いた。徐々に号数を上げる絵の中に生まれた「手をかける楽しさ」。称名寺の倒木から着想を得た縦180cm横360cmの卒業制作は、半年をかけ植物の命を克明に描きこめた。見事な手仕事に企業や画廊から声がかかるように。卒業後は神奈川県美術展や未来展などで数々の賞に輝いた。
○…「見てそのままを描く」。譲れぬ思いで、時には自分より大きなキャンバスを連れて写生に出る。パネルがなければ自ら作り、熱中して夢でも描き続けるほど。「いくらやっても追いつけない。無限の世界」。4つ下の妹は常にモデル役だ。成長の足跡でもある。目指すのは「自分の予想を超える絵を描くこと」。生みの苦しみを経験してもやはり、一生画家でいたい。「人生で一番楽しいこと」だから。
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