4月1日から金沢消防団長に就任する 平野 龍雄さん 釜利谷東在住 68歳
「自分の地域は自分で守る」
○…半世紀近く、消防団員として地域の暮らしを守ってきた。その尽力に、昨年5月には栄誉ある藍綬褒章を受章。4月からは529人を束ねる団長として、金沢の街を守る。「消防団がいるから安心して暮らせると思ってもらえるよう活動したい」と襟を正す。
○…生まれも育ちも釜利谷東。「変わらないのは手子神社だけ」と懐かしむ。田や山を駆け、宮川でエビやフナ釣りを楽しんだ少年時代。「皆うちに集合して学校へ行く。引き連れて遊ぶガキ大将だった」と笑う。山林火災が多かった当時、颯爽と出動する消防団員をよく見ていた。「かっこ良いと憧れた」。釜利谷中学を卒業すると大工の道へ。「ぼろ家の実家を建て直すまでと思ったが、形あるものを作る喜びを知り、続けてきてしまった」と冗談めかす。その後、消防分団小屋や町内会館も手掛けている。
○…「ここで育ち、生きていく。地域のために役立ちたい」。自分の地域は自分で守ろうと、消防団に入団したのは25歳の時。小柴貯油施設のタンク爆発など、大規模火災の現場も経験した。20年ほど前、町内で連続放火があった時のこと。現場を警察に任せ、団員4人と引き返そうとした矢先に目の前で火柱があがった。「すぐに放水し隣接の建物には燃え移らなかった」。日々の訓練の必要性を改めて感じる。現在、所属する班では高齢者施設や消防車両が進入できない幅の道路など、住人や地域の特性に合わせた訓練を積む。「大規模災害時は署員だけでは間に合わないことも。地域や地形に詳しい人が強みになる」。土地に根差す消防団の重要性を説く。
○…父の姿を見ていた2人の息子も消防団員。「地域の中で頑張れ」と伝えてある。「防災意識を高めるには、地域の人の目に留まる活動をすること」。訓練や啓発に加え、区内でもポンプ操法大会を開きたいとの声もある。「地域を守るんだという思いを一人ひとりが持てる団を作りたい」
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