著書「ミャンマーに学ぶ海外ビジネス40のルール―善人過ぎず、したたかに、そして誠実に」を発行した 深山 沙衣子さん 並木在住 36歳
ミャンマーの”心”伝える
○…「日本という国で、日本人と外国人が良い関係を築くには歩み寄ることが必要」。執筆の根本に自身のテーマがある。2011年に結婚したミャンマー人の夫と翌年、並木で立ち上げた「日本ミャンマー支援機構」。進出を目指す日本企業や、日本で働きたいミャンマー人――支援を通し見えたのが、思考や行動の理解不足が招くすれ違いだった。「それを伝えることで進出する人、学ぶ人、旅行する人の役に立てれば」。そんな思いでペンをとった。
○…初めてのカルチャーショックは15歳、アメリカで経験した。「全く違う世界があると知った」。次は進学先の高校。中華街から通う生徒も多く、休みの度に家族参加で家業を手伝う姿に日本と違う文化を感じていた。広告代理店を経て出版社へ。外国人の医療実態を取材する中”ミャンマー”と出会う。「日本に移住せざるを得ない、難民の存在に興味をひかれた」
○…タイ国境での難民キャンプなど、ミャンマー人を深く追うように。そんな折、難民の夫と出会う。「外国人の夫だけ給料が払われないこともあった」。起業を後押した一因だ。家族思いの性格が彼らの魅力という。給料の9割を仕送りする稼ぎ頭も。だからこそ就職面接で「家族に相談する」と答えるのは必要なこと。自立できないと捉えられてしまうのが、やはり日本人との思考のギャップだ。
○…企業から、現地で車を借りたい旅行者まで多様な依頼が舞い込む。「初めてミャンマーを訪れる人の学校みたいなもの」と笑う。ミャンマー人も毎週のように相談にくる。「誇りを持てる仕事を探し、人生のステップアップを手伝えたら一番嬉しい」。企業にミャンマー人の思考などを伝え理解を求める一方、彼らに漢字の読み書きや朝礼の仕方まで教育する。「信じてくれる人のために時間をかけたい。心のつながりがないと」。信頼関係が要なのは国が違えど変わりはない。両国の絆をつないでいく。
|
<PR>