法人設立1周年を迎えた里海イニシアティブの代表理事を務める 小笠原 伸一さん 金沢区鳥浜町勤務 68歳
”人ターネット”支えに
○…「誰もやったことのないことをしてみたい」。海藻類の二酸化炭素吸収に着目し、金沢漁港の協力を得て八景島沖でのコンブ養殖に取組む「里海イニシアティブ」の代表理事を務める。料理店と連携しコンブの新商品を試作したり、生コンブを試験販売したりと、様々なアプローチで活動を広げる。「このプロジェクトはとんとん拍子に行くことが多い。なぜか助けてくれる人が現れるんです」と屈託なく笑う。
○…小さな頃から東京大学を目指して一浪し、満を持して臨んだ入試は東大闘争で中止に。泣く泣く早稲田大へ進学した。学生時代は授業そっちのけでヨーロッパをわたり歩いた。「ヒッピーでした」。1日10ドルで過ごした放浪で、「日本もいいじゃないかと思うようになった」と振り返る。「竜馬がゆく」を読んで、京都から萩までどれくらいかかるか歩いてみたことも。野犬に襲われながらも、屋根のあるバス停や神社のお社に泊まり、好奇心の赴くまま見聞を広めた。
○…金沢区との縁は2002年、福浦にあった三菱重工横浜工場に赴任してから。環境部門に携わり地域営業を進める中、「臨海部を元気にしたいという思いが生まれた」という。現役時代は「その日のうちに帰ったことがない」というほどの激務。だからこそ、「土日だけは仕事をせず、家族と過ごす」というルールを自身に課した。今でも土日は妻と一緒に出かけたり、買い物したり。「コンブのイベントは土日が多いので、ヒンシュクを買いながら休んでいます」と笑う。
○…商売として未だ成り立っていないが「いつか花が咲くだろう」と明るい。「活動の第2章はコンブをエサにしたアワビの陸上養殖。それを中華街や市内料理店に提供できるサイクルを目指したい」。武器はこれまで培ってきた人脈だ。「IT時代だけど、私は”人(じん)ターネット”しかないから」。人とのつながりで、金沢の海を豊かにしていく。
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