平成30年度の神奈川県卓越技能者「神奈川の名工」に選ばれた 太田 信幸さん 磯子区在勤 49歳
”やらされ感”が育んだ名工
○…優れた技能を有し、その道の第一人者として活躍する人を県が表彰する「神奈川の名工」。磯子区にある(株)東芝の生産技術センターで長年機械加工に従事して培った技能や知識が高く評価された。現在携わるのは半導体装置用の精密部品等の製造。高精度を求められる仕事だが「今は機械がカバーしてくれる時代」と言い、今回の受賞で「自分の技能について考えさせられた」と話す。
○…自営で外壁工事をしていた父を見て育ち、自然と「ものづくり」の道を目指した。工業高校を卒業後、(株)東芝へ。入社早々、少しの傷も許されない人工衛星の継手の製造に従事し、「これ僕がやるの?と思った」と笑う。以来、緊張の続く仕事だが「働かざる者食うべからず」という親の教えに忠実に、黙々と組織に貢献してきた。
○…「人から言われてやるタイプなので、やらされている感覚がずっとある」と話す。だからこそ、「より楽に、やりやすいように」と考え変えていく工夫が、やりがいとなって技能を磨き上げた。部下には「楽しくやってほしい」とモチベーションを上げるよう努めているが、自分は「”やらされ感”で育てられた」
○…自らの技能について考えた結果、「ピンとこなかった」と苦笑い。しかし、社内や家族の反応で「賞の重みを感じた」。授賞式に同席した夫人からは名刺入れをプレゼントされ、普段仕事の話をしない小学生の息子からも「すごい」と称賛された。「父親の仕事がようやく分かったかな」と目尻が下がる。目下受験勉強中の息子に「やるときめたからには、とことんやって」とエールを送る。「動工具が発達した時代でも技能が必要な場面はある。技能は絶やさず、新しいものも取り入れたい」。これからも真摯に技能に向き合っていく。
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