6月1日付で金沢区佛教会の会長に就任した 菊地 茂雄さん 金沢区釜利谷東在住 58歳
失敗糧に進む仏の道
○…「先輩と同じことができるとはとても思えない。それでも精一杯務めて次の世代につなげられれば」と控えめに重責への意気込みを話す。29寺が所属する金沢区佛教会は、他区と比べて宗派を超えて、繋がりが強い。「同じお釈迦様を信じるということと、地域を良くしたいという思いを共有しているからだと思う」
○…神奈川区の寺院の住職だった叔父を持つ。大学では国文学を専攻。東京までの通学時、朝はバリッと臨戦態勢の社会人が、下り列車でくたくたになっている姿を見ていた。「東京に何があるんだろう」。そんな疑問を持ちつつ、手伝いで叔父の寺に行くと、温かい雰囲気で供養する家族の姿が。「寺には心が和やかになるものがあるのかも…」。そして卒業後、福井県永平寺に上山する。
○…「首から上は使うな」と言われ、体で覚えることを徹底された4年半の修行時代。「とても貴重な時間だった。少し普通の人間になれたような」。僧侶になりたての頃は、迷いの連続だった。「おやじ、どこいっちゃったんでしょう…」。そんな檀家の問いに言葉を失くしたことは数しれず。喪主に寄り添いすぎて落ち込み、逆に慰められたこともある。考えて失敗してまた考えて――。「修行が終わって完成ではない。檀信徒に教えられ、だんだんとお坊さんになっていくんです」と周囲への感謝を口にする。
○…息抜きはソフトビニール製の怪獣コレクション。「見るとほっとするんです」と照れ笑い。優しい気持ちになれる児童文学も近年のお気に入りだ。「世の中にはギリギリで生きている人が多くいる。そんな人を未来につなげる手伝いができれば」と真っ直ぐに話す。「寺が広いのは人が集まることができるため」。その役割を全うするための環境作りを目指す。
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