横浜市立大学付属病院では治療をしながら仕事をする患者の両立を支援している。今年7月には仕事とがん治療の両立支援モデル事業に。この支援を通して、病気による離職者の抑制を目指す。
現在、がん患者の3人に1人は就労可能年齢だという。また、静岡がんセンターが2013年にがん患者に行った実態調査によると、診断後に勤務者の34%が勤務先を依願退職、解雇されている。だが治療技術の進歩によって、がんになっても就労が可能な人もいる。こうした現状を踏まえ、厚生労働省は治療と就労の両立を支援するためのガイドラインを2016年に作成、2018年からは仕事と治療の両立支援モデル事業を採択するなどの対策をしている。
今年7月に市大付属病院も県内2施設目としてこのモデル事業に採択された。両立支援相談を受け付けていることを昨年12月から本格的に院内へ周知し始めた。同院ではがんや脳卒中に限らず、全ての疾患を持つ人を対象に、支援を行う。就労に不安のある患者はソーシャルワーカー(両立支援コーディネーター)と面談し「勤務情報提供書」に勤務内容や形態、通勤方法などを詳細に記入。主治医はこれを元に、より個人に合わせた診断書を作成する。その提出により、雇用主の患者への適切な対応を見込んでいる。また、患者が自身の現状を客観的に把握できるという利点も。
3月までは月に5件だった相談件数は今、月10件に倍増した。実際に、話すことが多い仕事だった患者が口腔内手術で休職期間を延長、話すことの少ない業務を増やしたことで働きやすい環境に繋がったケースもある。
現在の課題は患者だけでなく医師や看護師への周知。「医師は患者さんにも仕事や家庭があるというところまで意識が回りづらいのが現状」と話すのはソーシャルワーカーの友田安政さん。「病院で仕事の相談をすることをためらう患者さんも多い。診断がついた段階で両立支援の案内ができるように医師や看護師に周知を徹底していきたい」と意気込む。今後、外部講師を招いた講習会を開くなどして更なる周知を進めていく予定だ。
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