関東学院大学の防災・減災・復興学研究所は、学部や学問領域を超え約26人の研究者が集う。新しい学問として「防災・減災・復興学」を提唱する同大の学長で研究所の所長も務める規矩大義学長に、話を聞いた。
――研究所を設立しようと思った動機は?
規矩―長年、液状化を専門に研究してきて、様々な被災地を見てきましたが、東日本大震災では、技術者として非常に無力さを感じました。一方で、復興となると街づくりの専門家や行政などが絡んできて、それぞれの立場から物事を進めようとする。そこには、総合的な視点をもった研究者も人材もいないし、そうした人を育てる機関もない。「自分たちの研究は役にたっているのか」と3、4年は悶々としていました。そんな時、文科省の私立大学研究ブランディング事業を知って。幅広い意味での防災のプラットホームになるような研究所ができればと応募しました。
――様々な人材が集うことで、想像以上の化学反応があったとか。
規矩―例えば、大規模な災害が起きた時、我々は被災地全部の公共構造物を直さなければと考えます。しかし、看護の先生に「トリアージのように、優先順位をつけた方が早いのでは」と言われて、確かにそうだなと。正直、若干縦割りになるのはしょうがないと思っていたのですが、予想外に横に展開できました。今は異なる学問領域に関わる大きなテーマが3つ進行しています。
――研究をどのように地域に還元していくお考えですか。
規矩―横浜は様々な災害のリスクを抱えています。市民が自分の身の回りで起こりうる災害を知っているということはとても大事。今までも色々な場所で話をさせていただいていますが、そういう活動に力を入れていきたいです。行政ができることには限界があります。大規模災害に対応するためにも、市民ひとり一人が自宅周辺の災害知識を持つお手伝いができればと思います。
――今後の展望は。
規矩―防災や災害について、「まず、関東学院大学に聞いてみよう」と言われるような”災害のよろずや”になれれば。そこから必要機関につなげられるような存在を目指したいですね。
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