金子さんの草花の不思議発見!第49回 カクレミノ 葉を噛むと歯が欠ける? 文・日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇
暖かい沿海岸の山林や公園・庭木等でよく見かける「カクレミノ」は日本固有種の常緑高木です。名の由来は葉の形が雨具の蓑に似ているためで、古来より「ミツナガシワ」と呼ばれ、食べ物を乗せる器代わりに利用されてきました。
古事記や日本書記に、神に供える食べ物をミツナガシワ(御綱柏または三綱柏)の葉に盛ったと記されています。しかしミツナガシワの正体は、カクレミノを指す説とオオタニワタリ(シダ類)を指す説とがありますが、いずれにせよ神聖視される樹木の一つです。三綱とは君臣・父子・夫婦の3つの繋がりを表すめでたい言葉のため、後世になって「ミツナ」が「ミツノ」(三角)に転化し、3つの角のある葉(カクレミノやホウロウイチゴ等)を指すようになりました。葉の形は普通3裂ですが、花がつく枝の葉は3裂せず単葉のままです。
九州地方では「ハコボレ」といい、葉を噛むと歯が欠けるといわれており、四国地方でも「ハクチ」(歯朽)と呼んでいます。イノシシは好んでこの葉を食べるので、有毒ではないようです。
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