現役東大生で、5月3日の金澤能で源頼光を演じるプロ能楽師 阪本 昂平さん 横須賀市追浜在住 22歳
稽古重ね、いざ本番へ
○…金澤能の本番まで1カ月を切った。今年の舞台は称名寺ではなく金沢公会堂での2回公演。「2回チャンスがあるのは嬉しいし新鮮」と稽古にも力がこもる。自宅での練習場はもっぱら風呂。謡や基本の所作の確認を繰り返す。決められた能の型の中で、どうやって役の源頼光になりきるか――。「お稽古をし続けた先にしかない」と前を向く。
○…能が好きだった母親の影響で、6歳で称名寺薪能の「火入れ」を体験。これをきっかけに区内で開催する能講座「六浦セミナー」に通うようになる。「あまり覚えてないが、みんないるのでにぎやかで楽しかった記憶がある」。師である櫻間右陣さんの指導のもと、舞台の本数を重ね海外公演も経験。周囲の期待に責任を感じながら、「少しずつ、能の面白みを見つけてきた」。高校や大学の受験期は離れたこともあったが、いまや能は生活の一部だ。
○…東京大学では理学部地球惑星物理学科を専攻。「虫や宇宙が好きなんです」とにっこり。称名寺薪能の舞台の前は、境内裏のハイキングコースを歩いたことも。「緑が多いと心が落ち着くんです」。大学では天文部に所属し、時間があれば長野や房総半島に行き観測を楽しむ。「興味があることをとことん突き詰める」探求心で、能と学業を自然に両立させる。
○…1年前に能楽協会に認められ、プロ能楽師の仲間入りをした。それに伴い舞台で求められることも高くなったという。「意識が変わった。伝えられている櫻間の謡にどう近づけるか。正しいものを伝えていきたい」と襟をただす。大学院に進む予定だが、「先のことはわからない」とも。どんな仕事に就いたとしても「能はずっと続けていきたい」と真っすぐに話した。
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