金沢区富岡西在住のノンフィクション作家、大島幹雄さん(67)が書いた「日本の道化師 ピエロとクラウンの文化史」(968円)が平凡社新書から発刊された。日本では一般にピエロといわれるクラウン(道化師)の歴史や演者の人々を描いた。地元書店の高致堂書店(富岡西)や各有隣堂、Amazonなどで販売している。
大島さんは海外からサーカス団や道化師を招き、日本の公演を企画する「サーカスプロモーター」として活動してきた。2年前に仕事は辞めたが、サーカス研究はライフワークとして続け、40年ほどになる。「知識や資料はあったので、構想を練って昨年7月から4か月ほどで書き上げた」と話す。日本ではクラウンよりもピエロという呼び名が定着しているのはなぜか、歴史を辿りながら紐解いていく。
あわせて伝えたかったのが、クラウンとして活動する人の姿だ。現在は、舞台に立つだけだなく、社会福祉の分野でも活躍する。「マイナーな存在かもしれないが、人を喜ばせるために真摯に芸を磨く姿を書いておきたかった。クラウンはワインと一緒で熟成が必要なんです」
コロナに負けない
本を書いた理由はもう一つある。新型コロナウイルス感染症の流行で、エンタメ業界が大きな打撃を受けたことだ。「やられっぱなしだけど、コロナに負けたくない」と力を込める。
大島さんはクラウンを「人を笑わせるだけでなく、その向こうに喜びや希望を伝える存在」だという。分断が進む今の社会にこそ、クラウンが必要――。そんな思いが伝わればと願う。
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