金子さんの草花の不思議発見第12回 シャガ 表がない裏の面ばかりの葉 文・日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(金沢区富岡西在住)
「紫の 斑の仏めく 著我の花」(高浜虚子)
春先、庭の片隅にいち早く咲く美しい花「シャガ」は、漢字で「射干」「著我」と表すことがありますが、射干は本来「ヒオウギ」を指しています。漢名は「胡蝶花」で、長塚節の「炭焼きの娘」の中にも胡蝶花と出ています。アヤメの仲間では珍しい常緑性での花で、特徴は外側3枚の外花被(萼片)に鶏冠状の突起があります。
一般に葉には、表裏の区別がありますが、シャガには表裏の区別はありません。私たちが普段目にしている葉は、どちらの面も裏で、表は見られません。
では、表の面はどこかというと、葉がつくられる時、裏の面を上にして真二つに折り重ねて伸びてくるので、本来の表の面が完全に中に入ってしまい、外からは見えなくなります。右上写真の中央の葉(矢印)を見ると、途中やや窪んだ所に、小さな新しい葉が伸びかかっている様子がわかります。そして左上写真(矢印)のように出かかった葉を取り除き、縦に開くと内側に、本来の表の部分が見えてきます。
こうした葉を「単面葉」といい、アヤメの仲間に見られる現象です。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|